JRA「乗り替わり」がG1の結果に直結!? C.デムーロ、R.ムーア短期免許取得で注目すべき最大のポイントは
昨年の凱旋門賞(仏G1)をソットサスで優勝したC.デムーロ騎手が、ジャパンC(G1)当日から年末までの間、JRA短期騎手免許を取得する予定だと、複数のメディアが報じている。
今秋は凱旋門賞の前哨戦フォア賞(仏G2)で、ディープボンドを勝利に導いた名手の来日が実現。ジャパンCではジャンロマネ賞(仏G1)を勝利したフランス馬のグランドグローリーに騎乗する予定だという。
M.デムーロ騎手の弟として日本競馬界でも馴染み深いC.デム―ロ騎手だが、文字通り「世界を股にかける活躍」を見せている。無事に来日を果たせば、年末までのG1戦線に影響を与える存在になることは間違いない。
なぜなら過去に来日した際の成績を振り返れば、年末までのG1戦線に影響を与えることは一目瞭然だからだ。
3年前の18年にも来日した際は、11・12月の2ヶ月で18勝を挙げる大活躍。なんといってもG1レースの騎乗が多く、JRAに限定すれば、エリザベス女王杯から年末のホープフルSまで毎週G1に騎乗。特に阪神JFでは、香港へ遠征中の川田将雅騎手の代打で騎乗したダノンファンタジーで見事に優勝している。また同馬のG1勝利は現在までこのときの1勝のみである。
その前年の17年にも、10月最終週から年末まで来日したC.デムーロ騎手は、滞在期間中に29勝の”荒稼ぎ”。同年のG1戦線には、天皇賞・秋を皮切りに年末まで8戦に騎乗。年末最後の同年12月28日のホープフルSでは、タイムフライヤーに騎乗してG1制覇した後、帰国の途についた。
ちなみに同馬の新馬戦は、北村宏司騎手が騎乗して2着。次戦はルメール騎手で未勝利を脱出した。ところが同年10月28日、3戦目の萩Sから来日したC.デムーロ騎手に乗り替わって無事勝利。その後、継続騎乗した京都2歳S(G3)では2着と敗れたものの、コンビ3戦目のホープフルSで見事、タイムフライヤーをG1馬へと導いた。
過去のこういった経緯を踏まえると、今年も来日が叶えば、その“乗り替わり”がG1戦線に影響を与えることは必至だろう。
また来日後、毎週のようにG1レースへ騎乗していたC.デムーロ騎手を支えていたのは、他ならぬエージェントの存在だ。いわば短期騎手免許を取得して来日する実力派騎手が、その力を発揮するカギを握っているのがエージェントといえる。
3年前の18年の時点で、C.デムーロ騎手の担当は、当時からルメール騎手を担当していた豊沢信夫氏だった。
しかし当時から変わり、豊沢氏は現時点でルメール騎手と武豊騎手、浜中俊騎手を担当。若手騎手の枠では泉谷楓真騎手を抱えていることから、制限(騎手3名+若手騎手1名)は空きのない状態。おそらくC.デムーロ騎手が来日しても、豊沢氏以外の“エージェント”が担当するのではないだろうか。
さらに他の報道では、世界のトップジョッキーとして活躍しているR.ムーア騎手来日のニュースも報じられた。C.デムーロ騎手と同様にJRA参戦が叶えば、乗り替わりや誰がエージェントを担当するかによって、年末までのG1戦線の行方は大きく左右されそうだ。
彼らのような実力派外国人騎手が、日本でどんな騎乗をみせてくれるか。もちろんその騎乗ぶりも楽しみだが、彼らのエージェントの動きも忘れずに注目したい。
(文=鈴木TKO)
<著者プロフィール> 野球と競馬を主戦場とする“二刀流”ライター。野球選手は言葉を話すが、馬は話せない点に興味を持ち、競馬界に殴り込み。野球にも競馬にも当てはまる「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」を座右の銘に、人間は「競馬」で何をどこまで表現できるか追求する。