JRA マイルCS(G1)安藤勝己氏VS細江純子氏、ダノンザキッドの見解で元ジョッキーの見解が真っ二つ!? 悩める2歳王者の「真の姿」は……
21日に阪神競馬場で行われるマイルCS(G1)の枠順が19日に発表された。
今回がラストランとなる昨年の覇者グランアレグリアは6枠12番、3歳馬で期待の新星シュネルマイスターは2枠3番、一昨年優勝で昨年2着のインディチャンプは4枠7番。有力馬は比較的散らばる枠順となった。
一方、有終の美を飾りたいグランアレグリアの隣、7枠13番から虎視眈々とG1・2勝目を狙うのが、川田将雅騎手のダノンザキッド(牡3歳、栗東・安田隆行厩舎)だ。
若干外寄りの枠順だが、安田隆師に不安の2文字はない。『スポーツニッポン』の取材に対し「この馬は枠に関して気にしてなかったので、どこでも良かったです」と、特に気に留めていない。続けて「変わらず順調。春は体調があまり良くなかったが、ひと夏を越して成長している。この相手にどこまでやれるか見てみたい」と、期待を持って2歳チャンプを送り出す。
前走は骨折による長期休養明けに加えて、初めてのマイル戦。決して恵まれた条件とは言えなかったなか、4着と昨年のJRA賞最優秀2歳牡馬の意地は見せた。先日米国G1を制して波に乗っている川田騎手を背に、グランアレグリアとシュネルマイスターの2強ムードに風穴を開けても不思議ではない。
しかし、一発ムード漂うダノンザキッドに対して、厳しい見解を述べたのが中央・地方合わせて通算4464勝を誇る元ジョッキーの安藤勝己氏だ。
安藤氏は枠順発表前日に、自身のYouTubeチャンネル『アンカッちゃんねる』にて、『【マイルCS予想】昨年◎○▲のパーフェクト予想!アンカツの展開予想&出走馬格付けジャッジ!』を投稿。2006年と2007年にダイワメジャーで連覇を達成した安藤氏が騎手目線で、マイルCSの解説をしており、既に再生数は15万回を超える好評だ。
安藤氏がダノンザキッドに触れたのは、動画の後半の「2021マイルCS 出走馬ABC評価」だ。このコーナーでは、安藤氏が有力馬を高い方から順番にA・B・Cの3段階で評価するコーナーが設けられ、1頭ずつ自身の見解を述べている。
ダノンザキッドについて安藤氏は「素質的には3歳の中ではトップレベルの馬」と認めて「B評価」に。
その一方、「正直1600mの馬には見えない。本来2000mぐらいあった方が」と、マイル適性に疑問を呈している。
続けて「こういう馬場合うのかな、スタミナのいる。長い距離の方がいいんだろうけど、軽い馬場の方が合いそう」と、現在の阪神の芝へ対応できるかを疑問視している。
現在の阪神の芝コースについて、安藤氏は動画の冒頭で「良馬場なんだけど、やけに時計が掛かる馬場。完全にスタミナ勝負。読みにくい馬場。スピードだけでは押し切れない」と、説明している。
安藤氏の言葉を借りるとダノンザキッドのベスト条件は、時計が出る軽い馬場の芝2000m。ただ今回のマイルCSは、時計が掛かる馬場で行われる可能性が高い。ダノンザキッドの適条件ではないため、前走同様着外に敗れる可能性は高い、というわけだ。
一方、「ダノンザキッドは現在の馬場適性に合う」とジャッジを下しているのが、安藤氏と同じ元ジョッキーでホース・コラボレーターの細江純子氏だ。
フジテレビ『みんなのKEIBA』などでお馴染みの細江氏は、『netkeiba.com』で好評連載中の自身のコラム『ホソジュンの幸せ馬房』で「ダノンザキッドは今の阪神マイルに合う気がしており、どんな走りを見せるのか? 楽しみにしています。」と、期待を膨らましている。
ダノンザキッドについて「軽い馬場で2000mが合う」と話す安藤氏と、「時計が掛かる阪神マイルが合う」と話す細江氏。果たしてどちらの元ジョッキーの見解が正しいのか。21日の答え合わせが楽しみだ。
(文=坂井豊吉)
<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……