JRA【阪神JF(G1)展望】武豊×幸四郎「兄弟タッグ」でG1初挑戦、「3戦3勝」ウォーターナビレラを止めるのはM.デムーロかC.ルメールか!?

阪神ジュベナイルフィリーズが行われる阪神競馬場

 12日、2歳女王を決める阪神JF(G1)が阪神競馬場で行われる。今年はフルゲート18頭に23頭が登録。収得賞金400万円の馬による7/11の抽選となる。

 最大の注目は、武豊騎手の実弟・武幸四郎調教師が送り込む3戦3勝のウォーターナビレラ(牝2歳、栗東・武幸四郎厩舎)だろう。鞍上には前走に続き兄の武豊騎手が配され、兄弟タッグで初のG1に挑戦する。

登録23頭中唯一の3勝馬で、『netkeiba.com』の予想オッズでも堂々1番人気に支持されているウォーターナビレラ。2戦目までは吉田隼人騎手が騎乗していたが、前走のファンタジーS(G3)で兄弟タッグが実現した。その前走は、2歳の牝馬限定戦としてはやや速いペースとなったが、2番手追走から難なく抜け出して、デビューからの連勝を3に伸ばしている。

 同馬の武器はテンの速さとスピードの持続力だ。3戦すべてでスタートダッシュを決め、逃げもしくは2番手を先行している。コースも札幌1500m、中山1600m、阪神1400mと異なる舞台で、すべて上がり3ハロン2位以内と、先行しても安定して速い上がりを繰り出す力を持っている。今回は初めての外回りコースとなるが、よほどの乱ペースにならない限り、上位争いは必至だろう。

 父は新種牡馬のシルバーステートで、その初年度産駒の1頭。重賞初制覇に続き、父にG1初制覇をもたらすことはできるか。

 武騎手は阪神3歳牝馬S時代を含めてこのレースは21戦して、「1-1-2-17」。あまり相性がいいレースとは言えないが、1994年ヤマニンパラダイス以来となる優勝を、弟の管理馬で達成できるだろうか。

 ステルナティーア(牝2歳、美浦・木村哲也厩舎)は、12年ローブティサージュ以来の1勝馬による2歳女王の座を狙う。

 全兄は18年マイルCS(G1)を勝ったステルヴィオ。兄と同じく2歳戦から期待に違わぬ素質を見せている。サウジアラビアRC(G3)2着から2歳G1という過程は兄と同じだ。

 ステルヴィオはデビュー4戦目の朝日杯FS(G1)で、ダノンプレミアムの2着に好走した。一方、妹のステルナティーアは、デビュー2戦目でサウジアラビアRCに出走し、牡馬に挑戦。勝ったコマンドラインには半馬身及ばなかったが、賞金加算には成功した。

 その前走は負けたとはいえ、スローで流れた分、最後は位置取りの差が出てしまった。上がり時計はステルナティーアの方が0秒1上回っており、牝馬相手なら一気に突き抜けてもおかしくない。

 鞍上はデビューから手綱を取ってきた福永祐一騎手が香港遠征のため、C.ルメール騎手に乗り替わる。同騎手は兄ステルヴィオが3歳秋のマイルCSを勝つ前まで主戦を務めていた。今度はテン乗りで妹をG1制覇に導くことはできるか。

 そのルメール騎手は阪神JFには過去4度騎乗し、2勝、2着1回という好成績を残している。16年ソウルスターリング以来の3勝目を狙う。

 前哨戦覇者サークルオブライフ(牝2歳、美浦・国枝栄厩舎)も怖い1頭だ。

 デビュー前は注目度もそれほど高くなく、8月新潟の新馬戦は4番人気だった。そこでイクイノックスから1秒2差の3着に敗れると、続く中山マイルの未勝利戦を快勝し、出世レースの一つアルテミスS(G3)へ。

 未勝利勝ちを収めたばかりで7番人気という評価だったが、M.デムーロ騎手の好騎乗もあって、後方から外を伸びて差し切り勝ちを収めた。

 管理するのは数々の名牝を育ててきた国枝師。このレースも7戦して1勝、2着2回。09年に後の三冠馬アパパネで制している。昨年はサトノレイナスが2着だったが、12年ぶり制覇なるか。

 父はデアリングタクトとエフフォーリアという2頭のG1馬を輩出しているエピファネイア。3年目産駒から、またも大物誕生の期待がかかる。

 ベルクレスタ(牝2歳、栗東・須貝尚介厩舎)は、前走のアルテミスSでサークルオブライフにクビ差で敗戦。3か月ぶりをひと叩きされた分、上積みはこちらが上か。

 半姉のアドマイヤリードは6年前の阪神JFに出走し、6番人気で9着に敗れた。父がステイゴールドからドゥラメンテに替わって、切れ味という点では妹も負けていない。デビュー4戦目で初となる右回りに対応できれば、戴冠のシーンがあっても驚けない。須貝厩舎は昨年のソダシに続き、このレース2連覇を狙う。

 デビュー2連勝のナミュール(牝2歳、栗東・高野友和厩舎)も侮れない。前走は出世レースの一つ、赤松賞(1勝クラス)を4番人気で勝利し、無敗でG1制覇を狙う。

母のサンブルエミューズは9年前に当レースに出走し、2番人気に支持されたが、ローブティサージュの8着に敗れた。9年越しのリベンジを果たせるか。

 鞍上を務めるのは3年前にダノンファンタジーでこのレースを制したC.デムーロ騎手。主戦を務める川田騎手が香港遠征のため代打というのは、その時と同じだ。縁起がいい乗り替わりで一発を狙う。

 ラブリイユアアイズ(牝2歳、美浦・黒岩陽一厩舎)は、夏の札幌で新馬、クローバー賞(OP)を連勝した逸材だ。3連勝を狙った京王杯2歳S(G2)でも牡馬相手に3着と健闘した。

 父ロゴタイプは2歳戦から活躍し、中山時代の朝日杯FSを制覇。その後も皐月賞(G1)、安田記念(G1)を制するなどマイル~中距離路線で長く活躍した。鞍上はG1初制覇を狙う団野大成騎手が務める。

 この他には、ナムラ2騎も虎視眈々。ナムラクレア(牝2歳、栗東・長谷川浩大厩舎)は、夏の新潟で新馬戦3着後、フェニックス賞(OP)に挑戦し、見事勝ち上がった。続く小倉2歳S(G3)を大外一気の末脚で勝利すると、前走のファンタジーSはウォーターナビレラと3/4馬身差に惜敗。鞍上はダービージョッキーの浜中俊騎手だ。

 夏の函館2歳S(G3)覇者、ナムラリコリス(牝2歳、栗東・大橋勇樹厩舎)は、5か月ぶり実戦。距離も一気に2ハロン延長となるが、2年目の泉谷楓真騎手が初G1で思い切った騎乗を見せてくれるか。

 抜けた存在がいない今年の阪神JF。混戦を断ち、2歳女王に輝くのは果たしてどの馬か。発走は12日の15時40分を予定している。

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