【香港C(G1)展望】BC制覇の偉業から1か月、ラヴズオンリーユー有終の美へ!レイパパレはC.スミヨンと新コンビ、最大のライバルは最高レーティングの英国馬

ラヴズオンリーユー

 12日には香港のシャティン競馬場で4つのG1からなる「香港国際競走」が開催される。フィナーレを飾る2000mの香港カップには日本調教馬が3頭出走を予定している。

 19年のオークス馬ラヴズオンリーユー(牝5歳、栗東・矢作芳人厩舎)は、一時期のスランプを乗り越え、今年は京都記念(G2)で復活の勝利を飾った。その後は海外を転戦。ドバイシーマクラシック(G1)でミシュリフ、クロノジェネシスとデッドヒートを演じて3着に入ると、QE2世C(G1)で約2年ぶりのG1制覇を果たした。

 帰国後は札幌記念(G2)でソダシの2着に敗れたが、11月のブリーダーズCフィリー&メアターフ(米G1)で各国の強豪牝馬に挑み、見事な勝利を収めた。道中は好位を追走すると、最後の直線入り口では前が壁になり、万事休すと思われたが、狭いところを割って、勝負根性を発揮した。

 日本調教馬にとって初の偉業から1か月。5歳にして完全復活を遂げた女傑は香港で引退レースを迎える。前走後は米国から直接香港への長距離輸送でコンディション面が心配されるが、春にもドバイから香港への輸送を経験済み。心配の必要はないだろう。

 近走の活躍で香港ジョッキークラブが発表するレーティングは出走メンバー中2位タイの「118」をマーク。先月のマイルCS(G1)を制した同世代のグランアレグリアに続いて、有終の美を飾りたい。

 ラヴズオンリーユーとレーティング「118」で並ぶのがレイパパレ(牝4歳、栗東・高野友和厩舎)だ。

 今年はデビュー6連勝で大阪杯(G1)を圧勝。一躍新女王候補に名乗りを上げた。ところが、その後は3戦して3着、4着、そして前走のエリザベス女王杯(G1)は6着と着順を落としている。

 言い訳がきくとすれば、その3戦がすべて2200mだったこと。本来は2000mまでが適距離なだけに、1ハロン短縮の今回は巻き返しに期待がかかる。

 前走は初めて掲示板を外したとはいえ、追い込み決着となった一戦で人気を背負った分早めに動かざるを得なかった。それでいてゴール直前まで粘り腰を見せ、2着馬とは0秒2差だった。

 鞍上には日本でもお馴染みのC.スミヨン騎手を指名。世界が誇る剛腕がレイパパレを復活の勝利に導くことはできるか。

 日本馬3頭目はレーティングがメンバー9位の「114」というヒシイグアス(牡5歳、美浦・堀宣行厩舎)だ。

 2歳時から素質の片鱗はのぞかせていたが、本格化したのは4歳になってからだった。昨年4月から今年2月の中山記念(G2)まで4連勝を飾ってブレーク。大阪杯でも有力馬の1頭に数えられていたが、疲れを考慮して出走を見送った。

 夏場もまるまる休養に充て、8か月ぶりの実戦はエフフォーリア、コントレイルなど3強が注目された天皇賞・秋(G1)。外枠が不利とされる東京2000mで、8枠15番から、道中は中団を進むと、直線じりじりと脚を伸ばし大健闘といえる5着に食い込んだ。

 鞍上には香港競馬を知り尽くしたJ.モレイラ騎手を確保。ひと叩きされた効果、そして香港実績のある堀調教師の手腕発揮に期待したい。

 外国勢も例年以上に充実している。メンバー断トツのレーティング「121」を誇るのは、ドバイオナー(セ3歳、イギリス)だ。

 デビューから今年春にかけてマイル戦を中心に使われ、なかなか勝てずにいた。ところが夏以降に中距離に専念すると、一気に3連勝を飾った。前走・英チャンピオンSでG1に初挑戦し、ここはシリウェイの2着に敗れたが、直線で見せた末脚は光るものがあった。

 その英チャンピオンSで3着だったマックスウィニー(牡3歳、アイルランド)は、5月のアイルランド2000ギニー(G1)を制しており、実績的にはドバイオナーより上。ただし、取捨は当日の馬場次第だろう。

 これまで良馬場では6戦すべて4着以下、そして重もしくは不良馬場のときは3戦3勝と、明らかな道悪巧者。冬場の香港で雨は期待できそうにないが……。

 地元香港の6歳馬カーインスター(セ6歳、香港)にもチャンスがある。通算成績は36戦して「7-9-6-14」。これまではマイルを中心に使われてきたが、前走のジョッキークラブカップ(G2)で久々に2000mを走り、2着に好走した。香港馬として3年ぶり、6歳馬としては9年ぶりの香港カップ制覇を狙う。

 過去6年で日本馬が4勝しているこのレース。ラヴズオンリーユー、レイパパレ、そしてドバイオナーが三つ巴の様相を呈している。発走は12日17時30分(日本時間)を予定している。

関連記事

競馬最新記事

人気記事ランキング 11:30更新

競馬

総合

重賞レース特集
GJ編集部イチオシ記事
SNS