JRA【朝日杯FS(G1)展望】武豊G1完全制覇王手へビッグチャンス!? セリフォスVSジオグリフVSダノンスコーピオン“無敗馬”の3強を断つ!!
19日、阪神競馬場では2歳マイル王を決める朝日杯FS(G1)が行われる。来年のクラシック戦線を占う意味でも重要となる一戦を制するのは、果たしてどの馬か。
今年は登録19頭のうち6頭が無敗。中でも人気を集めそうなのは、唯一の3戦3勝馬セリフォス(牡2歳、栗東・中内田充正厩舎)だろう。
重賞2勝を含む3勝を中京、新潟、阪神という異なるコースのマイル戦で挙げている。ダイワメジャー産駒らしく、仕上がり早で前向きな気性は、いかにも2歳マイル王に輝く資質を感じさせる。
2戦目までは川田将雅騎手が手綱を取ったが、前走デイリー杯2歳S(G2)は藤岡佑介騎手に交代。ソネットフレーズと直線叩き合いとなったがクビ差制して、連勝を伸ばした。
川田騎手が再び海外遠征のため、今回はC.デムーロ騎手が鞍上を務める。早速、1週前追い切りに騎乗した同騎手。『デイリースポーツ』の取材に対し、「現状では何も言うことはないですね。人気の一頭になると思いますし、19日に向けて楽しみになる追い切りでした」と自信を見せている。併せた年長馬2頭を直線で突き放した末脚で、4連勝での戴冠は濃厚か。
2頭目の無敗馬はデビューから2戦2勝のジオグリフ(牡2歳、美浦・木村哲也厩舎)だ。新種牡馬のドレフォン産駒がG1に初挑戦する。
同馬のデビュー戦は6月の東京2歳新馬(芝1800m)。3番人気ながら、好位追走から抜け出す危なげない競馬で、2着アサヒに1馬身半差をつける完勝を収めた。
その後は2か月半の間隔を空けて札幌2歳S(G3)へ。初戦の内容が評価され、堂々1番人気の支持を受けた。スタートで後手を踏み、最後方からの競馬を強いられる厳しい競馬となったが、向正面で進出を開始。4角で先団に取り付くと直線1頭だけ違う脚色で他馬を寄せ付けなかった。
秋は前哨戦を使わず、ホープフルS(G1)との2択だったが、朝日杯FSへ。長距離輸送と初の距離短縮の2つが課題となりそうだ。
父ドレフォンが生粋のスプリンターだったように、距離短縮はプラスに転じる可能性のほうが高そう。阪神への輸送さえクリアできれば、3連勝での戴冠も見えてくる。
ジオグリフと同じ2戦2勝のダノンスコーピオン(牡2歳、栗東・安田隆行厩舎)も虎視眈々と3連勝を狙う。
6月の新馬、そして10月の萩S(L)を2連勝中で、ゆったりとしたローテーションはまさに理想だが、レース内容にはまだ課題も残している。
2戦とも道中はやや流れに乗れず、先行馬が抜け出したところをゴール直前にクビ差交わすというリプレーを見ているような競馬だった。
レース後の川田騎手のコメントもやや手厳しい。デビュー戦後は「調教で感じていた課題を随所に見せながらでしたが、2着馬が伸びる中まずは勝てた事が何よりです」とのこと。2戦目の後にも「着差はわずかでしたが、勝ち切ってくれたのが大きいレースでした」と、まずは勝ち切れたことを評価していた。
今回は川田騎手から松山弘平騎手に乗り替わっての一戦。1週前追い切りに跨った松山騎手は、「乗りやすくていいイメージ」とコメントしている。
前走後はホープフルSとの両睨みだったが、デビュー戦と同舞台で必勝態勢。2歳戦にめっぽう強いダノン軍団の本領発揮はなるか。
ドウデュース(牡2歳、栗東・友道康夫厩舎)も、無敗の1頭。新馬、アイビーS(L)と、1800mで2連勝中だ。
派手さには欠けたが、どちらもクビ差の勝利と勝負強さを見せた。鞍上の武豊騎手は他のお手馬もいるなか、同馬を選択。懇意にしているキーファーズにG1制覇をもたらし、ホープフルSでG1完全制覇に挑みたい。
武豊騎手がデビュー戦で騎乗していたドーブネ(牡2歳、栗東・武幸四郎厩舎)も3連勝を懸けての一戦を迎える。今年5月の千葉サラブレッドセールで税込み5億円超の値をつけた注目馬だ。
9月の札幌2歳新馬(芝1500m)を差し切り、中京のききょうS(芝1400m)を逃げ切っての2連勝で、自在性も持ち合わせている。鞍上は2戦目から手綱を取る吉田隼人騎手だが、前走後は「課題の残る内容だった」とバッサリ。今回は一線級相手に初の1600mに対応できるかどうか。
この他には、新潟2歳S(G3)3着があるオタルエバー(牡2歳、栗東・中竹和也厩舎)も侮れない。デビューから4戦すべてでハナを切り、大崩れしておらず、ここでもペースを作るか。
アルナシーム(牡2歳、栗東・橋口慎介厩舎)は、1戦1勝で臨んだ前走・東京スポーツ杯2歳S(G2)で3番人気に推された逸材。ただし、武豊騎手の「コントロールが利かなかった」というレース後コメント通り、道中抑えきれず早め4角先頭に立ってしまい、イクイノックスから1秒1差の6着に敗れた。前走の課題を克服して、巻き返しを狙う。
今年は前評判通り、連勝中の実績上位馬による争いとなるのか、それとも昨年のグレナディアガーズのような人気薄の台頭があるのか。発走は15時40分を予定している。