JRA M.デムーロ「弟、ムカつく(笑)」ジャパンC当日に起きた「伏線」に決着!? 阪神JF(G1)サークルオブライフで“リベンジ”達成!
12日、阪神競馬場で行われた2歳女王決定戦は、3番人気のサークルオブライフ(牝2歳、美浦・国枝栄厩舎)が大外一気で勝利。国枝厩舎からはアーモンドアイ、アカイトリノムスメに続き、またも名牝誕生の予感だ。
18頭立てで行われた芝1600mのレース。ゲートが課題のサークルオブライフだったが、主戦のM.デムーロ騎手が「スタートを上手く出た」と振り返った通り、無難なスタートを決めることに成功。「流れもよかったからスムーズな競馬ができました」と、2歳馬が自分の競馬に徹することは大きな勝因の1つだろう。
中団やや後方から完璧なレース運びで最後の直線を迎えると「馬場がキレイで外が伸びていたから外に」との言葉通り迷わず外へ。サークルオブライフの自慢の末脚が爆発すると、最後は大外から先頭集団をまとめて飲み込んだ。
「デムーロ騎手らしい豪快な競馬でしたね。レース後に『ジリジリ伸びた』と話していたように、エンジンが点火するまで少し時間がかかりましたが、阪神外回りコースの長い直線が勝ち馬に味方したと思います。
サークルオブライフにとっては初の関西遠征でしたが、M.デムーロ騎手が『新馬戦から乗って、色んな競馬場で走ってきたから、今日も落ち着いていた』と話していた通り、これまで新潟・中山・東京と様々な競馬場でレースをした経験が活きたと思います。
来年の桜花賞(G1)もオークス(G1)も直線の長い競馬場が舞台ですし、まずはこの馬が牝馬クラシックの中心に躍り出た印象です」(競馬記者)
一方、記者曰く、M.デムーロ騎手の勝利騎手インタビューでは開口一番「嬉しかった。久々の阪神競馬場で弟に負けないように」とニッコニコだったという。
弟とはもちろん、このレースで1番人気のナミュールに騎乗していたC.デムーロ騎手。スムーズな競馬ができた兄とは対照的にスタートで大きく出遅れると、最後の直線も馬場の悪いインを突かざるを得ないなど、終始苦しいレースを強いられた。
先月のジャパンC(G1)当日から短期免許で騎乗しているC.デムーロ騎手だが、この兄弟の対決には、そこからの「伏線」があったという。
「実はジャパンC当日に行われたオリエンタル賞(2勝クラス)のスタート直後、M.デムーロ騎手のスパングルドスターが、隣にいたC.デムーロ騎手のトーセンスカイからタックルをお見舞いされるシーンがありました。
スパングルドスターは元々スタートに課題のある馬で、この日は上手にゲートを出たはずだったんですが、その矢先のアクシデント……結局、M.デムーロ騎手は後方からの競馬を強いられて、末脚不発のまま9着に敗れてしまいました」(同)
記者の話は『netkeiba.com』で今週掲載された『Road to No.1 M.デムーロ世界一になる』でも語られており、M.デムーロ騎手曰くメインのジャパンCでもひと悶着あったそうだ。詳細はぜひ本記事をご覧いただきたいが、本人は「クリスチャンの馬が僕のほうに飛んできた」「弟、ムカつく(笑)」と笑っている。
「来年が凄く楽しみ。距離(が延びて)ももつと思いますから、本当に楽しみです」
約3年ぶりの再会ながらも、刺激的な“初日”から約2週間。弟の1番人気を倒してサークルオブライフを2歳女王に導いた兄は、来年のクラシックへその思いを膨らませる。大舞台で抜群の勝負強さを誇るM.デムーロ騎手が帰ってきた。
(文=銀シャリ松岡)
<著者プロフィール>
天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。好きな騎手は当然、松岡正海。