JRAホープフルS(G1)「天敵」横山武史から予想外のキラーパス⁉ 「重賞86連敗」岩田望来に「救世主」登場か
先週18日に中山競馬場で行われたターコイズS(G3)。以前から度々コンビを組んでいるアンドラステで今度こその重賞初制覇を狙った岩田望来騎手だったが、結果は2着とまたも惜敗。これで重賞は86連敗となり、またしても不名誉な記録に終止符を打つことが出来なかった。
19日の朝日杯FS(G1)は不参加だったため、年内で悲願を達成するチャンスは阪神カップ(G2)・有馬記念(G1)・ホープフルS(G1)と残すところ3レースのみとなった。
今年の岩田望騎手はこれまでキャリアハイの87勝を挙げており、19日には節目となるJRA通算200勝も達成した。現在全国リーディングでも6位と活躍しているだけに、どうにか年内のうちに重賞連敗にピリオドを打ちたいところだろう。
そんな岩田望騎手だが、中山競馬場で28日に行われるホープフルSにサトノヘリオス(牡2、栗東・友道康夫厩舎)で参戦することが正式に決まった。これが正真正銘の今年ラストチャンスだ。
新馬戦では後の東京スポーツ杯2歳S(G2)の勝ち馬イクイノックスや先日行われた阪神JF(G1)を勝ったサークルオブライフと対戦。結果は4着と敗れ、上記2頭に先着を許した。だが、その後のサトノヘリオスの成績次第では「伝説の新馬戦」と呼ばれる可能性すらあるハイレベルなメンバー構成だった。
サトノヘリオスは次走の未勝利戦をレコードタイムで勝ち上がると、前走のエリカ賞(1勝クラス)では評判馬がいる中で上がり最速をマークし、またしてもレコードVを決めた。2歳コースレコードとなった勝ち時計1分59秒7は、1週前に同舞台で行われた古馬の重賞チャレンジC(G3)の勝ち時計2分1秒0を遥かに上回る時計だった。
「最後は馬群の間を割って伸びる良い内容のレースでした。タイムも速かったですし、これからの成長が楽しみです」と、レース後に語った岩田望騎手。相手も強化されている中での2戦連続レコード勝利という内容に、評価も急上昇している。
そして、陣営は前走から中2週半という強行ローテにもかかわらず、ホープフルSへの挑戦を決断。近年のエリカ賞勝ち馬は、年内を休養にあて年明けの重賞に向かうのが一般的だが、暮れのG1へ挑戦してくるあたり自信の表れに違いない。21日現在、『netkeiba.com』の単勝予想オッズは6番人気となっており、伏兵として怖い存在となりそうだ。
当初ホープフルSへは、萩S(L)で自身が騎乗して2着となったキラーアビリティで参戦すると思われた岩田望騎手だが、初めの登録段階では福永祐一騎手への乗り替わりが発表されていた。幸か不幸かその福永騎手が香港での落馬事故により、急遽代役が必要となったのだが、選ばれたのは岩田望騎手ではなく、なんと関東の若手ホープ横山武史騎手だった。
さらに萩Sで接戦を演じた勝ち馬ダノンスコーピオンが朝日杯FSで3着と好走したことで、キラーアビリティもホープフルSの有力馬候補の1頭として数えられている。非情とも見て取れる乗り替わりで、重賞初制覇のチャンスがその手からスルリと零れ落ちたかに見えた。
しかし、競馬の神様は岩田望騎手に今年最後のチャンスを与えたのかもしれない。強行軍ながら出走可能なサトノヘリオスを最後の救世主として用意したのだ。これには燃えないわけがないだろう。キラーアビリティ降板の絶望的状況からのよもやのチャンス到来だったはずだ。
この些細なキッカケが岩田望騎手の初重賞勝利にして初G1制覇という、年末最後のビッグドラマを巻き起こす可能性を生み出した。もしかすると、結果次第ではキラーアビリティの鞍上に抜擢された横山武騎手から岩田望騎手へ、予想外の“キラーパス”になるのかもしれない。
(文=ハイキック熊田)
<著者プロフィール>
ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?