JRA 有馬記念(G1)「伝説」の公開枠順抽選会、名伯楽がチョイスした絶好枠をゲット!「単勝万馬券」想定も、ついに充実期を迎えた複穴候補はこれ

 23日に行われた有馬記念(G1)の公開枠順抽選会。今年もコロナ禍のため、出走馬関係者が集まらない中での実施となったが、ファンの間ではネットを中心に大変な盛り上がりを見せた。

 3歳馬のエフフォーリアは5枠10番、これが引退レースとなるクロノジェネシスは4枠7番に決定。また展開のカギを握るパンサラッサが1枠2番、タイトルホルダーは大外16番の極端な枠に入った。発走までの間、もうしばらく頭を悩ますこととなりそうだ。

 そんな有馬記念の枠順抽選であるが、現在のように公の場で行われるようになったのは2014年からだ。

 当時は抽選で選ばれた馬から順に、希望する枠を選ぶことができるドラフト制となっており、当時ニューヨークヤンキース・現楽天イーグルスの田中将大投手が最初に引き当てたジェンティルドンナを管理する石坂正元調教師は2枠4番を選択。次に当たったトゥザワールド陣営は3枠6番を選んだ。

 レースでは見事にジェンティルドンナが優勝し、トゥザワールドが2着。抽選で1、2番目に引き当てられた馬のワンツーで決まったこのレースは、今でもファンの間では語り草となっており、また翌年にはドラフト制が廃止されたことから、同年の抽選会はもはや「伝説」となっている。

メロディーレーン

 そんな現役時にJRA通算690勝を挙げた名伯楽・石坂正元師が真っ先にチョイスした、2枠4番を今年引き当てたのがメロディーレーン(牝5歳、栗東・森田直行厩舎)だ。

 同馬は6月の宝塚記念(G1)11着以来、約4ヶ月ぶりの出走となった前走の古都S(3勝クラス)を、上がり3ハロン最速で快勝。好位3、4番手からインを巧みに回って進出すると、直線では2着馬を力でねじ伏せて待望のオープン入りを果たした。

 抽選会では15番目と遅い指名となったが、残りものには福があると言わんばかりに絶好枠をゲット。タッグを組む岩田望来騎手は中継で「すごくいい枠。ファンに勝つんじゃないかというところを見せられたらいいと思います」と意気込みを語った。

 だが、前走を勝って臨むとはいえ、同馬はこれまで重賞勝ちはおろか、オープンクラスでの連対実績もない。好枠は引き当てたものの、大一番の有馬記念で勝ち負けに持ち込むことは厳しいと見られており、『netkeiba.com』の事前オッズでも単勝万馬券の下位人気に想定されている。

 とはいえ、複穴としての魅力は十分にありそうだ。注目したいのは、その馬体重である。

 もともと340キロ前後と小柄なため注目されてはいるが、休み明けの前走は馬体重を10キロ増やし、デビュー以来初の350キロ台に乗せた。それでも他馬に比べれば小さいことには変わりないが、同馬にすれば5歳秋を迎えてついに充実期に入ったといえるかもしれない。前走の力強い勝ち方が、なによりの証である。

 また同馬がオルフェーヴル産駒である点も魅力の1つだ。

 現役時に有馬記念を2勝している同馬の産駒は、昨年のステイヤーズS(G2)をオセアグレイトが優勝。今年の同レースでも産駒が2、3着に入っており、また先週行われたターコイズS(G3)でも産駒が2、3着に入線を果たしている。冬場の中山は好相性で、先週ターコイズS 3着のギルデッドミラーは13番人気の人気薄でもあった。

「メロディーレーンは前走でこの馬なりに体重を増やして充実してきたことと、その後は有馬記念一本に絞ったことで使い減りしていないという点は好材料だと思います。

好枠を引き当てたこと、暮れの中山開催と相性の良いオルフェーヴル産駒であることを考えれば、複穴候補としての魅力はそれなりに兼ね備えているかもしれません」(競馬誌ライター)

 生まれた当初はその小ささから競走馬になれないのではないかと危惧されたほどの同馬だが、有馬記念に駒を進める一流馬にまで成長した時点で、もはや奇跡といってもいいのかもしれない。

 専用のインスタグラムのフォロワー数は、競走馬としては異例の19000人を突破した。現役屈指の人気を誇るメロディーレーンの大一番での走りに注目したい。

(文=冨樫某)

<著者プロフィール>
キョウエイマーチが勝った桜花賞から競馬を見始める。まわりが学生生活をエンジョイする中、中央競馬ワイド中継と共に青春を過ごす。尊敬する競馬評論家はもちろん柏木集保氏。以前はネット中毒だったが、一回りして今はガラケーを愛用中。馬券は中穴の単勝がメイン、たまにWIN5にも手を出す。

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