JRA「キャリーオーバー」ゼロでも驚愕の平均配当4219万円! 今年のWIN5はなぜこれほど“無理ゲー”だったのか、「億り人」多発の犯人は例のアレ?

 先週末の有馬記念(G1)も終了し、今年の中央競馬で残るG1は、28日に開催のホープフルSを残すのみ。朝日杯FS(G1)をドウデュースで勝利した武豊騎手のJRA・G1完全制覇に大きな注目が集まることは間違いない。そして、前人未到の快挙に王手を掛ける28日だが、年内の達成にはアスクワイルドモアでの勝利が求められる。

 そんな競馬界のレジェンドと同じくラストチャンスを迎えるのがWIN5である。

 WIN5とはJRAが指定する5つの対象レースの勝馬を予想する「5重勝単勝式勝馬投票法」の愛称。ちなみに的中者がいない場合や、最高払戻金6億円を超える配当になった場合はキャリーオーバーとなる。

 このわずか100円からの投資で「億超え」も狙える夢のような券種は、2011年からインターネット投票限定で発売が開始された。また、2018年9月23日の東京競馬場から、JRA-UMACAカードによるキャッシュレス投票で、競馬場(JRA競馬場のみ)やWINSでの購入が可能となった。

 過去、高額的中者の二重課税に端を発した馬券裁判も報じられたこともあるWIN5も11年目。これまで多数の「億り人」を世に送り出してきたが、今年もまた度肝を抜かれるような高額払戻が多発した。

 そこで、まだあと1回残っているものの、一足先に2021年の高額払戻トップ5を振り返ってみたい。

 まず第5位は、1億267万4510円の6月6日。

 対象1レース目こそ2番人気が勝利するも、2レース目5番人気、3レース目6番人気、4レース目が8番人気と波乱続き。最終関門の5レース目の安田記念(G1)に単勝1.5倍のグランアレグリアが控えていたが、最強マイル女王を破った8番人気ダノンキングリーが大番狂わせを起こした。

 第4位は、2億7208万2120円の5月23日で、1億超えの5位から一気に倍増した。

 対象1レース目を5番人気が勝利し、2レース目は2番人気馬が勝利したものの、3レース目の韋駄天S(OP)を14番人気タマモメイトウが大穴を開けたことにより、風向きは一転する。4レース目で6番人気馬が勝利した上に、5レース目のオークス(G1)でまたも波乱が待っていた。3番人気ユーバーレーベンが勝利したとはいえ、敗れたのは単勝1.9倍に支持されていた大本命馬ソダシ。前週に続く超大波乱の結末となっている。

 第3位は3億591万1340円の5月16日。

 その「前週」がこの5月16日。この日は対象1レース目から18頭立ての16番人気だったコロラトゥーレが大金星を挙げるいきなりの大波乱。最終の5レース目こそ単勝1.3倍のグランアレグリアがヴィクトリアマイル(G1)で順当勝利したものの、それまでも16番人気→6番人気(大本命ラペルーズ11着)→5番人気→7番人気と波乱続きだったため、3億円超えを記録した。

 ちなみに私事ではあるが、筆者はこのとき16番人気コロラトゥーレを的中しながら2レース目をC.ルメール騎手のラペルーズ1点で轟沈……結果的にWIN4だったため、立ち直るにはしばらく時間が掛かった。

 第2位は4億8178万3190円の1月11日。

 まだ、年明けの正月気分も残るこの時期。1レース目4番人気、2レース目5番人気と比較的平穏な決着から3レース目の寿S(3勝クラス)を16頭立ての14番人気ツーエムアロンソが勝利して票数が激減。残る4レース目は3番人気ファインルージュ、5レース目を5番人気テイエムサウスダンが勝利したが、僅か1票の的中票が生き残っていた。

 そして注目の第1位に輝いたのは5億5444万6060円という、とてつもない高額配当となった3月14日だ。

 全体の勝ち馬人気は1レース目4番人気、2レース目4番人気、3レース目10番人気、4レース目8番人気、5レース目3番人気と、これだけだと5億を超えるような結果に思えないが、立役者となったのは3レース目の金鯱賞(G2)を制したギベオンである。

 このレースにはデアリングタクトが出走していた。同馬とアーモンドアイ、コントレイルといった新旧の三冠馬が一堂に会し、史上最高レベルといわれた昨年のジャパンC(G1)で3着に入った昨年の無敗三冠牝馬に票が集中。単勝1.4倍の圧倒的人気を集めたことはいうまでもないが、その関係もあってギベオンは全くのノーマークとなっていた。

 27日現在、WIN5対象レースの勝ち馬で単勝万馬券だったケースは3回あるが、ギベオンの単勝払戻は、先述のコロラトゥーレ1万1350円、ツーエムアロンソ1万1480円を大きく突き放す2万2730円と約2倍。それほどの超人気薄が穴を開けた後も8万5156票から激減したとはいえ、176票も残っていたことは驚きである。最終的に誰もがキャリーオーバーに期待したこの日、“残念ながら” 1票だけ的中票が残っていたのだった。

 ただでさえ的中することは困難とされるWIN5だが、今年は例年以上に難解な年だった印象が強い。ちなみに以下は過去5年におけるWIN5の年間平均配当である。

2016年(約1369万円 / 56回)
2017年(約1437万円 / 56回)
2018年(約496万円 / 54回)
2019年(約1550万円 / 55回)
2020年(約2241万円 / 55回)

 高額配当が目玉だけあって魅力的な数字が並んでいるが、それ以上に驚愕すべきは今年の平均配当だ。

 まだ1回を残しているとはいえ、有馬記念終了時までの年間平均配当は、なんと(約4219万円 / 54回)という度肝を抜かされるもの。

 そしてこの最大の原因と考えられるのが、京都競馬場の改修工事による影響を受けた変則開催だろう。

 これによって対象となるレースの競馬場に中京競馬場が加わり、それまでのレース傾向に大きな影響を与えた。なにしろ高額配当トップ3に入った単勝万馬券を演出した大穴馬は、3頭すべてが中京コースで勝利していることは見逃せない。

 なお、京都競馬場の工事が完了するのは2023年3月とまだ先のこと。それだけに来年のWIN5も、的中を目指すファンにとって、引き続き“無理ゲー”となる可能性が高いかもしれない。

(文=黒井零)

<著者プロフィール>
 1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。

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