JRA「101連敗中」藤田菜七子にビッグチャンス!? 逆襲の2022年はブラック企業も真っ青の小倉から…「深刻な騎手不足」が追い風に?
C.ルメール騎手の5年連続リーディングという形で幕を閉じた、昨年のリーディングジョッキー争い。
199勝と惜しくも200の大台に届かなかったルメール騎手だが、2位の川田将雅騎手とは63勝差と盤石の戴冠。今年もリーディングに最も近いのは、間違いなくこのフランス人騎手だろう。
またルメール騎手、川田騎手、松山弘平騎手、福永祐一騎手というトップ4は前年とまったく同じ顔ぶれ。今年は、この“神4”に5位の横山武史騎手、6位の岩田望来騎手といった若手がどう割って入るのかがポイントになりそうだ。
そんな華やかなリーディング争いとは別に、今年も中堅ジョッキーたちには生き残りをかけた激しい争いが待っている。そんな彼らが勝ち星を稼ぐ原動力となっているのが、「第3の開催」いわゆるローカル開催だ。今年も15日から小倉競馬が開幕する。
約2か月間の開催で、重賞が行われるのは小倉大賞典(G3)のみという寂しい冬の小倉開催。だが、どんなレースであろうと、勝てば「1勝」という事実に変わりはない。トップジョッキーが中山や中京といった中央開催に集中する分、中堅騎手にとってはローカル開催が自らの生き残りを懸けた絶好の稼ぎどころとなっている。
その一方で、今回の小倉開催では「深刻な騎手不足」が起きるかもしれないというから驚きだ。
「実は、関東の陣営が困った状況になってまして……。騎手が全然いないんですよ。今年も冬の小倉開催には多くの関東馬が出走を予定していますが、今のところ小倉参戦を予定している関東の騎手は横山和生、秋山稔樹、丹内祐次、勝浦正樹、藤田菜七子、小林凌大、黛弘人とわずか7人のみ。
レースでは関西のジョッキーに依頼すれば良いだけなので特に問題はありませんが、問題は週中の調教です。立地的にも小倉は滞在がメインですが、遠征を予定している7人の中で、横山和騎手は週中栗東に調教をつけに行くのが慣例。残った6人ですべての関東馬の調教を行わなければならない状況になっています」(競馬記者)
そう話す記者曰く、ある関東の中堅騎手は「すでに調教の予定はびっしり入っています。ある先生から『レースでも乗せるから調教を手伝ってくれ』と言われたのですが、もう朝一から分刻みに予定が詰まっていて……泣く泣く断りました」と渋い顔だったとか。
この騎手に限らず、小倉遠征を予定している関東の騎手すべては似たような状況だという。
「本当は関西の騎手にもヘルプを頼みたいところですが、関西には関東以上の数の関西馬が遠征してきますからね。厩舎的には攻め専のスタッフをつれていきたいのですが、当然コストが掛かりますし、中山に出走する馬の調教もつけなければなりません。中には、そんな事情を鑑みて遠征断念を検討している厩舎もあるとか……。
昨年までなら、例えば横山武騎手や菅原明良騎手といった活きの良い若手も小倉に遠征していたんですが、大ブレイクした彼らはもうほぼ中央開催から動かないでしょうね。ローカルに行かなくても十分に騎乗馬を確保できますし」(同)
だが、逆に言えば関東のジョッキーにとっては大きなチャンスともいえる。特に奮起を期待したいのが、昨年14勝でリーディング64位に終わった藤田菜七子騎手だ。
昨秋10月には左鎖骨骨折のアクシデントもあった藤田騎手。8月から勝ち星がなく、重ねること101連敗、ローカル開催がなかった影響もあって昨年ラスト2週は2鞍、3鞍と寂しい状況で2021年を終えてしまった。
そんな藤田騎手にとっても、この小倉開催は日々の調教に追われるに違いないが、裏を返せば多くのチャンスが眠っているともいえる。騎乗数の増加も必然なだけに、ここで「逆襲の2022年」の弾みをつけたいところだ。
(文=銀シャリ松岡)
<著者プロフィール>
天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。好きな騎手は当然、松岡正海。