JRA 豪快「バックドロップ」馬が戦線復帰!飛越よりも走りに注目!? クラシック出走を期待できるワケ
年が明けて2022年。競走馬は一斉に1つ加齢されて、2歳馬は3歳馬に、3歳馬は4歳馬となる。
また、新馬戦の数も徐々に減少し、それに伴って3歳1勝クラスのレースが増えていく。これからクラシックや重賞を見据える若駒にとって、1勝クラスのレースは避けて通れない道。新馬または未勝利、1勝クラスを経て大きな舞台に挑戦していく。
中央競馬開幕日の5日も、東西それぞれ3歳1勝クラスのレースが組まれている。どちらも芝2000mの条件であるため、ひょっとするとこのレースから後々クラシックで好走する馬が出てくるかもしれない。
特に中京6Rはその可能性が高いだろう。『netkeiba.com』の単勝予想オッズで想定1番人気のグランディアは兄弟に重賞馬が多数いる良血馬だ。西の名門・中内田充正厩舎の管理馬で鞍上が川田将雅騎手であることからも、本馬への期待の高さがうかがえる。
そして、このレースにはもう1頭、競馬ファンから高い注目を集めた馬が出走する。それがダークエクリプス(牡3歳、栗東・今野貞一厩舎)だ。
1戦1勝のドゥラメンテ産駒に大きくクローズアップされたのが、前走の札幌2歳S(G3)である。新馬戦の快勝ぶりから4番人気の支持を得たものの、レース前に前代未聞のアクシデントを起こしてしまう。
ゲート内でスタートを待っている間に、前扉を潜るような動作を見せると、鞍上の和田竜二騎手を振り落として、扉の下から潜り抜けた。放馬で自由の身となった本馬は全力疾走した後に、外ラチを「背面跳び」で越えた。
異例の光景に札幌競馬場では、大きなどよめきが起こり、跳んだ瞬間を捉えた中継映像は瞬く間にネット上で話題を呼んだ。その反響の大きさはレースを4馬身差で制したジオグリフ以上だったかもしれない。SNSではトレンド上位にランクイン。さらにYouTubeにアップされている本馬の飛越映像は、70万回再生を誇っている。
幸い人馬ともに大きな怪我は負わなかったものの、ダークエクリプスに約1ヶ月間の出走停止と発走調教再審査の処分が科された。それゆえ仕切り直しのレースに挑む前に、ゲート再審査を合格する必要があったが無事にクリア。
今野師は『スポーツ報知』の取材で「慎重に立ち上げ、ここまで順調にきました」と、順調さをアピールしており、再出発の一戦に大きな期待がかかっている。
キャリアの浅さと気性面の難しさが課題の馬であるため、今回の強力なメンバー相手に太刀打ちできるか疑問が残る。その一方で、1戦1勝ゆえ伸びしろや底が見えていないのが長所といえる。
ダークエクリプスが制した新馬戦は、スローペースゆえ勝ち時計は平凡だが、内容やラップは優秀。本馬はゴール前流す余裕を見せる完勝で、下した相手も決して弱くない。3着のポッドボレットは京都2歳S(G3)で4着に入っており、6着のレッドラディエンスは既に2勝を挙げている。
「『12.6-12.2-11.8-11.8』と、後半にかけて加速する新馬戦でしたが、ダークエクリプスは好位から差し切ってます。馬単体で見れば1ハロン11秒前半の脚を繰り出しています。優れたスピードを搭載していますから、1勝クラスでも即通用の器であるかもしれません。
また、祖母はディープインパクトの母で有名なウインドインハーヘアです。良血馬ですから、ここを勝つようならクラシックを沸かせる1頭に数えられることもあるでしょう」(競馬誌ライター)
今回鞍上の吉田隼人騎手は、レースで初めて跨るが、既にゲート再審査で本馬に騎乗しており顔は合わせている。前走のようなアクシデントが再び起こるのは考えにくい。
今度こそ本馬の能力全開の姿が見られるだろう。ダークエクリプスの豪快な走りに期待したい。
(文=坂井豊吉)
<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……