JRA【フェアリーS(G3)展望】前走“C.ルメール騎乗”の3頭が中心!? リーディングジョッキーの「レース後コメント」から読み解く「最有力馬」は…
10日、中山競馬場では3歳牝馬限定のマイル重賞、フェアリーS(G3)が行われる。クラシックに直結するイメージが薄い当レースだが、昨年の覇者ファインルージュは桜花賞(G1)3着、秋華賞(G1)2着と3歳牝馬路線を賑わせた。今年もここをステップに飛躍する馬は現れるだろうか。
今年は登録馬20頭すべてが収得賞金400万円の1勝馬となっている。重賞レースの経験馬も少なく、横の比較が難しい一戦だ。そんななかノーザンファームの生産馬、なかでも前走でC.ルメール騎手が手綱を取っていた3頭が中心となりそうだ。
3頭の中でルメール騎手が今回も騎乗するのはエリカヴィータ(牝3歳、美浦・国枝栄厩舎)。名種牡馬キングカメハメハのラストクロップの1頭で、2020年の1歳セレクトセールにて1億8700万円(税込)の高値で競り落とされた期待馬である。
10月東京のデビュー戦では、前評判に違わぬパフォーマンスで差し切り勝ち。着差以上の強さを感じさせる好内容だった。ルメール騎手は「真面目で能力があります。良いポジションでリラックスして走れました。直線でも2回加速してくれました。1600mでも1800mでも、2000mでも大丈夫です」と、その優等生ぶりと距離の融通性を力強くアピールしていた。
その能力は陣営も認めるところだが、1戦1勝馬は当レースではやや苦戦傾向。14年のオメガハートロックを最後に勝利はなく、15年以降の過去7年では「0-0-3-11」と連対馬はいない。エリカヴィータは8年ぶりにデビュー2連勝でのフェアリーS制覇を狙う。
スクルトゥーラ(牝3歳、美浦・鹿戸雄一厩舎)も、デビュー戦でルメール騎手が手綱を取った1戦1勝馬で、今回新たにコンビを組むのは横山武史騎手だ。
デビュー戦は10月東京の芝1400mで、牡馬に混じって1番人気に支持された。18頭立ての17番枠から先行馬を前に見る形で好位を追走。直線で先行馬をとらえると1馬身半差をつけてゴールした。
ルメール騎手はレース後、「センスが良いです。良いスタートを切って、良いポジションを取ることができました。直線でも良いフットワークを使ってくれました。1600mでも大丈夫だと思います」と距離延長にお墨付きを与えた。
ただし、デビュー戦が1400mだったように、将来的には1200~1400mが主戦場になる可能性が高そう。過去10年の距離延長組は「1-1-4-43」と苦戦しており、距離適性という点で真価が問われる一戦となりそうだ。
ビジュノワール(牝3歳、美浦・中舘英二厩舎)も前走でルメール騎手が騎乗した1戦1勝馬だ。
最大のストロングポイントは中山マイル戦をすでに経験していることだろう。9月の新馬戦で勝利した際、ルメール騎手は「能力はありそうで、距離は今は1600mがピッタリだと思います」とコメント。同じ中山1600m戦で桜花賞路線に名乗りを上げたい。
父は新種牡馬のキタサンブラック。現役時代の走りからイメージは沸きにくいが、産駒は東京スポーツ杯2歳S(G2)を制したイクイノックスなど、瞬発力に優れたタイプも出ている。当馬はデビュー戦で先行し、4角先頭から父を彷彿とさせる積極的な競馬で完勝した。
鞍上は5日午前の時点で未定だが、管理する中舘調教師は16年にビービーバーレルで当レース制覇の経験がある。ピッタリの距離でビジュノワールを桜花賞戦線へ送り込めるか。
前走の赤松賞(1勝クラス)で1番人気に支持されるも、ナミュールの3着に敗れたスターズオンアース(牝3歳、美浦・高柳瑞樹厩舎)。叔母にはG1・2勝のソウルスターリング、アルテミスS(G3)を勝ったシェーングランツがいる良血で、この時期の重賞では怖い存在になり得るだろう。
ライラック(牝3歳、美浦・相沢郁厩舎)は10月の東京芝1800mでデビュー勝ちすると、前走は京都2歳S(G3)で牡馬に挑戦した。しかし、初の長距離輸送でマイナス10kgの馬体減も響き8着に大敗。関東圏の競馬、そして距離短縮で巻き返しを図る。
この他には、3走前の未勝利戦でサークルオブライフに0秒4差負けのニシノラブウインク(牝3歳、美浦・小手川準厩舎)、父は3年連続で北米リーディングサイヤーのイントゥミスチーフという良血スピードグラマー(牝3歳、美浦・藤沢和雄厩舎)などにも注目しておきたい。
22年最初の3歳牝馬重賞は10日15時35分に発走予定となっている。