JRA武豊「開幕ダッシュ」一転して急ブレーキから1年、新年初白星はベテランの貫録見せる技ありV
2022年の中央競馬開幕となった5日、年始の初重賞は中山、京都の東西金杯の開催を迎える。
年も変わり、関係者も心機一転。中京中山ともに好天に恵まれたのは幸いである。新年早々に中山2Rで秋山稔樹騎手が、落馬するアクシデントが発生したことは残念だった。
各陣営や騎手にとってもできるだけ早く今年の初勝利を挙げておきたいところ。中山1Rを皮切りに、続々と白星を手にする騎手がいる中、武豊騎手も今年3鞍目となった中京7R(4歳上・2勝クラス)で今年の初勝利を挙げた。
14頭立てのダート1900mで、レジェンドがコンビを組んだのはクリノドラゴン(牡4、栗東・大橋勇樹厩舎)だ。
1番人気に推されたコンビは、道中で10番手の後方から追走。中盤から各馬の騎手が積極的に追い上げる展開ながら、武豊騎手とクリノドラゴンは慌てず騒がず、外目からじわじわと進出する。
3~4コーナーにかけて激しいポジション争いが繰り広げられる中、満を持して追撃を開始した武豊騎手。直線外から豪快に末脚を伸ばすと、先に抜け出しを図った川田将雅騎手のアジャストザルートに2馬身の差をつける完勝で締めくくった。
「ライバル各馬が早め早めに動いた展開ながら、武豊騎手の冷静な手綱捌きが光りましたね。近走で惜敗が続いていましたが、無駄な動きがなかったこともあって脚も溜まっていました。仕掛けのタイミングもドンピシャで、さすがレジェンドといえる華麗な騎乗だったと思います。
とにかく何事もないのが一番です。昨年は初日に3勝と荒稼ぎして開幕リーディングに立ちながら、調教に乗った後で急性腰痛を発症。『ベストの騎乗ができない』と判断した結果、続く3日間の開催で騎乗をキャンセルせざるを得なかったですから……」
振り返れば、開幕ダッシュに成功していたにもかかわらず、予想外のアクシデントによって首位陥落してしまった昨年の悪夢から1年……。
「ファンの皆さんの熱い支持に何度でもお礼を申し上げなければなりません。そのお返しは全力プレー。今年も騎手一同、熱い騎乗で皆さんの支持にお応えすることをお約束申し上げます」
公式サイトで新年のあいさつと意気込みを語ってくれた武豊騎手。長年勝てなかった朝日杯FS(G1)を制したように、流れは悪くない。まずはこのまま無事に騎乗を続け、暮れのホープフルSでのG1完全制覇を目指して、さらなる活躍に期待したい。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。