JRA「3連勝」でG1級の素質が開花! デムーロ兄弟が導いた元クラシック候補の快進撃

C.デムーロ騎手 撮影:Ruriko.I

 10日、中京競馬場で行われた10R雅S(3勝クラス)は、2番人気のグロリアムンディ(牡4、栗東・大久保龍志厩舎)が勝利し、ダート転向後3連勝でオープン入りを決めた。

「1コーナーで不利がありましたが、そのあとはスムーズに運べて最後までしっかり走り切ってくれました」

 騎乗したC.デムーロ騎手がレース後にコメントした通り、道中の内容は決して一筋縄ではいかないものだった。

 10頭立てで行われたダート1800m戦。スタートこそ良かったものの、隣のホッコーハナミチとの小競り合いで一度後ろに退くと、追い打ちをかけるように内にいたスズカパンサーが急に外側へ進路を切り替えた。そのため、グロリアムンディの進路が狭くなり、立ち上がりそうな場面もあった。結局2度の不利の影響もあり、後方3番手からの競馬を余儀なくされた。

 だが、致命傷ともいえる大きな不利を受けたにもかかわらず、C.デムーロ騎手は実に冷静だった。

 向正面の1000m通過付近では、3番手を進んでいた1番人気ケイアイロベージをマークするように、直後の4番手まで押し上げていた。最終コーナーでは、先に動いたライバルを楽な手応えで追走しながら最後の直線を迎える。

 失速したケイアイロベージを早々に交わしたグロリアムンディは、後続を振り切って押し切りを図ろうとするハヤブサナンデクンを猛追。ゴール手前で捻じ伏せたが、手応えはまだ十分に残っていた。

 勝ち時計1分50秒9という時計は、先月に同舞台で行われたチャンピオンズC(G1)で4着のインティとコンマ1秒差。単純比較とはいえ、G1で掲示板相当の走りを披露したことになる。

「3勝クラスのレースでしたが、オープンでも即通用する勝ち方だったと思います。スタート後に大きな不利を受けていたことを考えれば、今後の伸び代に期待せずにはいられない内容でした。

今回の乗り替わりは、前走で騎乗したM.デムーロ騎手が中山でフェアリーS(G3)に騎乗したことや、以前まで主戦を務めていた福永祐一騎手が落馬負傷による戦線離脱もあって、C.デムーロ騎手に白羽の矢が立ったのかもしれません」(競馬誌ライター)

 見事な乗り替わりでの勝利に、ネット上の掲示板では「不利があったのに強い」「C.デムーロ巧い」と競馬ファンから多くの賞賛の声が飛び交った。世界的名手の冷静なリカバリー能力には、ただただ脱帽するしかなかった。

 デビューから芝路線を歩んでいたグロリアムンディは、2歳時には芝重賞の京都2歳S(G3)で1番人気に支持されたほど素質を評価されていたが、クラシック出走は叶わなかった。その後も、条件クラスを勝ち切れない日々が続いていたが、昨年12月にダート転向してからは、1カ月強で3連勝。ダートでようやく素質が開花した。

 いずれにせよ、デムーロ兄弟が繋いだ役割は大きく、今後の古馬ダート路線が益々盛り上がりそうだ。ダート界に旋風を巻き起こすべく、今後のグロリアムンディの動向に注目したい。

(文=ハイキック熊田)

<著者プロフィール>
ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?

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