ドロ沼「重賞10連敗」はJRAへの反乱が発端!? ステラヴェローチェでも日経新春杯(G2)は苦戦必至か
16日、中京競馬場では新年恒例のハンデ重賞、日経新春杯(G2)が行われる。『netkeiba.com』の単勝予想オッズで1倍台の断然人気に支持されているのが、昨年の有馬記念(G1)4着馬ステラヴェローチェ(牡4歳、栗東・須貝尚介厩舎)だ。
2歳時には、道悪で行われたサウジアラビアRC(G3)を勝利。続く朝日杯FS(G1)ではレコード決着となった中、グレナディアガーズの2着と好走し、馬場不問のスピードとパワーを見せつけた。
3歳春は皐月賞(G1)と日本ダービー(G1)でともに人気を上回る3着に好走。秋は道悪の神戸新聞杯(G2)で重賞2勝目を飾ったが、菊花賞(G1)と有馬記念は善戦及ばず、ともに4着に敗れた。
その実績はメンバーでも随一だが、秋初戦の神戸新聞杯からの約4か月間でこれが4戦目。前走の有馬記念から中3週というややタフなローテーションに状態面を危惧する声が少なからずあがっている。
「エフフォーリアを筆頭とした4歳世代で常に上位を争ってきた馬だけに実力は本物でしょう。いずれG1を勝てる器だと思いますけど、今回はどうでしょうか。菊花賞、有馬記念と使った反動が心配ですね。最終追い切りはCWコースで81秒2という好時計を余力十分に叩き出していますが、併せ馬の予定が単走になり、須貝調教師の口からは『ちぐはぐになってしまった』という言葉も出ました。
普通に考えれば勝ち負けは必至だと思いますが、心配なのが須貝厩舎の不振です。今年は9戦して未勝利。4着が1度あるだけで、他は掲示板を外す凡走に終わっています。
また昨秋からちょっとしたスランプが続いています。ステラヴェローチェの神戸新聞杯勝利を最後に重賞では10連敗中(菊花賞、スワンS、チャンピオンズCは2頭出し)。チャンピオンズCのソダシなど人気馬がことごとく人気を裏切っています。この須貝厩舎のスランプに対し、ある出来事を持ち出すファンも一部にはいるようですが……」(競馬誌ライター)
ある出来事というのは昨年9月に須貝調教師がJRAに約700万円の損害賠償を求め大津地裁に提訴した件である。事の発端は前年10月のサウジアラビアRCだった。ステラヴェローチェで制し、歓喜に沸いた陣営は新型コロナウイルス対策の接触制限に違反し、騎手と記念撮影をしてしまったという。
これに対し、JRAは須貝厩舎の貸与していた馬房を2つ削減という処分を科したが、これを不服とした須貝調教師が提訴に至ったのだ。
「JRAは2年前の10月上旬にG1レースに限って、調教師と優勝馬の馬主らとの撮影を許可するが、騎手との撮影は不可とする感染対策を通知していました。ところが須貝調教師は『G1レース』の部分を『Gレース』と見間違い。さらに騎手との撮影ができないことを見落としていたといいます」(同)
実際に2つの馬房が削減されたのは、昨年3月のことだった。一般のファンの目には大きな処分には映らないかもしれないが、これによって須貝師は厩舎スタッフの1人を解雇し、相当数の管理予定馬が転厩を強いられたというから穏やかではない。
提訴したことが公になったのは秋華賞(G1)でソダシが1番人気を裏切った直後。奇しくもちょうどこのタイミングで須貝厩舎の重賞でのスランプが始まった。
チャンピオンズCでは、ソダシが理想の外枠とはかけ離れた最内1番枠に収まり、「JRAからの嫌がらせだったりして……」という声が一部のファンから上がることも。その後も阪神JF(G1)で人気の一角ベルクレスタが18頭立ての16番枠に追いやられ敗退するなど、大きなレースでは苦難が続いている。
春を見据え確勝を期して出走するステラヴェローチェ。まずはどの枠を引き当てるかに注目が集まりそうだ。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。