JRA 横山武史が最終レースで「してやったり」の神騎乗! ファンも大絶賛の騎乗の伏線はAJCC(G2)!?

 23日、中山競馬場で行われたアメリカジョッキークラブC(G2、以下AJCC)は横山典弘騎手のキングオブコージが外から鋭く伸びて優勝。ロングラン開催の影響で内の馬場は荒れてスピードが出にくいとされており、上位に食い込んだ馬も軒並み外を選択した馬たちが占めていた。

 その一方で、唯一内を突いて上位に食い込んだのが、3着だった横山武史騎手のボッケリーニ(牡6歳、栗東・池江泰寿厩舎)だ。

「内を突くつもりはなかったのですが……」

 横山武騎手も、当初は父が選択したように外を走ることを決めていたようだ。しかし、4コーナーで前を走るソッサスブレイが失速し始め、外がゴチャつく展開に。外へ出しても窮屈な競馬になると判断した同騎手は、皆が嫌ってぽっかり開いた最内を選択。

 進路を確保したボッケリーニは、若干内へモタれながらもしぶとく脚を伸ばして3着を確保。結果的に負けてしまったが、一瞬アッと言わせる見せ場も作っており、馬券を購入したファンの大部分は満足できたように思える。

 そんな横山武騎手がファンを更に驚かせたのが、40分後に行われた最終レースだ。

 同騎手は3番人気のリーガルバトル(牡5歳、美浦・高橋文雄厩舎)に騎乗した。同馬は絶好のスタートからハナを取る構えを見せたが、1頭行きたがる馬がいたため、譲って3番手からの競馬に。

 経済コースを器用に立ち回ると、直線は1頭だけラチ沿いを選択。コーナーワークで、リーガルバトルは早々に単独先頭に躍り出る。

 荒れた馬場を走っていたため、直線半ばで止まると思われたが、一向に脚色が衰える気配を見せず。外から伸びた2着馬に1馬身差をつける完勝に、横山武騎手はゴール後、小さくガッツポーズをして、馬の首筋を幾度も撫でて健闘を称えていた。

横山武史騎手

 荒れたコースを選択した理由について同騎手は「自分としてはインの馬場状態も悪くないと見ていたので、ロスなく競馬をしました。リスクもありましたが、結果的にうまくいきました」と、ニンマリ。

 関東のホープの好騎乗に、ネット上の競馬ファンもSNSや掲示板を通じて「これは神騎乗」「武史くん最高!」など大絶賛が相次いだ。

「横山武騎手は当日の中山の芝レースに全て騎乗していましたが、AJCCの前後で通った進路が分かれています。5・6・9Rは比較的外の馬場を選択しており、特に勝利した9Rは大外から豪快に差し切っています。この時点では『内より外』という意識があったと思います。

ただ、図らずも内を走ることとなったAJCCで騎乗馬がジリジリ伸びていることから『思っているほど内は悪くないのでは』と、考えが変わったのでしょう。本人のコメント通り最終レースは躊躇なくインコースを選択し、勝利しました。

同じ関東の成長株の菅原明良騎手にも言えることですが、発想や着眼点が豊かですよね。菅原明騎手は昨年のアイビスSD(G3)で、外ラチに向かって走って直線競馬に一石を投じる内ラチ沿いを走るレースをして、14番人気ながら3着と結果を残しました。

これからトップジョッキーとして活躍するには、技術もさることながら、定説や常識を覆す発想や騎乗を思いつき、それを実行することが求められそうです」(競馬誌ライター)

 昨年は2年連続の関東リーディングに輝き、初勝利含むG1・5勝と飛躍の年だった横山武騎手。だが、23歳の若武者はまだまだ進化し続けるようだ。これからもその成長ぶりに目が離せない。

(文=坂井豊吉)

<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……

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