JRA「何十億を紙くずに……」父が大失態演じた舞台、秋G1でファンの不評を買ったユーバーレーベン調教師が「状態はデビュー以来最高」の強気

 昨年に続いて阪神競馬場で行われる京都記念(G2)には、今年の飛躍を懸ける注目馬が多数参戦。近走の内容から抜けた存在はいないものの、1番人気に落ち着きそうなのは、昨年のオークス馬ユーバーレーベン(牝4、美浦・手塚貴久厩舎)だろう。

 阪神芝2200mは宝塚記念(G1)と同じ舞台でもあり、好走した馬がグランプリに出走するようなら面白い存在になりそうだ。それだけに、ユーバーレーベンにとってはちょっとした因縁もある。

 なぜなら本馬と宝塚記念には、切っても切れない関係にあるからだ。

 2013年に同レースを制した父のゴールドシップは、翌14年も優勝して連覇を達成。前哨戦の阪神大賞典(G2)、そして天皇賞・春(G1)を連勝して臨んだ15年は、単勝オッズ1.9倍の圧倒的1番人気でレースを迎えた。

 しかし、ゲート内で2度立ち上がって大きく出遅れ……。前を行く馬群から10馬身以上のロスを目撃した瞬間、阪神競馬場に詰め寄せた大観衆から悲鳴、落胆の叫び沸き上がった。レースでもこれといった見せ場もなく15着に惨敗。史上初のJRA平地同一G1・3連覇の偉業は、意外な形で幕を閉じた。

「えー、宝塚のゲートですが、とんでもない1番人気、一瞬にして何十億を紙くずにしちゃってどうもすいませんでした」

 ゴールドシップが“やんちゃ過ぎる大失態”を演じた際、当時の主戦を任されていた横山典弘騎手が、元パートナーの引退式で当時を振り返るコメントを残して場を和ませたのは、心温まるエピソードである。

 一方、産駒のユーバーレーベンにとって、ここは是非とも結果が欲しいところ。

 9日に行われた最終追い切りは、美浦ウッドで併せ馬。直線一杯に追われるパートナーに対し、馬なりで併入した。6F83秒8、ラスト1F11秒9の好タイムをマークし、見守った指揮官から「状態はデビュー以来一番じゃないかな」という最高級の賛辞も飛び出した。

 昨秋は、左前脚の屈腱周囲炎明けだったユーバーレーベンや、右肘の腫れや熱発のあったウインマリリンに対し、中間の調整過程には不安を匂わせていた手塚調教師。だが、レース前には、「追い切りは及第点、問題ない」とコメントしならがいずれも凡走し、師の言葉を信じたファンの一部から怒りを買った。

 とはいえ、調教師としてはオーナーの手前、本音と建て前もある中で、中間の状況説明は、精一杯の誠意だったのかもしれない。

 同じ阪神の秋華賞(G1)で大敗を喫したユーバーレーベンだが、それは本調子になかっただけのこと。2歳時の阪神JF(G1)では、女王ソダシを追い詰めたコースでもある。

 順調な調整過程で挑む今回の陣営は、むしろ強気過ぎて怖いくらいだが、今度こそ信じてよさそうだ。

(文=黒井零)

<著者プロフィール>
 1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。

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