JRA武豊「ユキチャンがクロチャンに……」の悪夢から13年……3連勝中エンプレス杯(G2)で痛恨“デジャブ”が再現!?
1年前と同じアノ三冠馬の娘が見事な勝利を飾った。
2日、川崎競馬場で行われたエンプレス杯(G2)は、終始好位のインで脚をためたオルフェーヴル産駒のショウナンナデシコが勝利。逃げたサルサディオーネをゴール前で捉え、重賞初制覇を飾った。
「1番人気だったのでホッとしている気持ちですね」
安堵の表情を浮かべた鞍上の吉田隼人騎手は、「力を付けてきているので、これからもっと良い競馬できると思うので、また応援してもらえたらと思います」と、さらなる活躍を誓った。
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実は昨年のこのレースを制したのも同じくオルフェーヴル産駒で、1番人気に支持されたマルシュロレーヌだった。ゴール前で逃げたサルサディオーネを捉えたところも全く同じ。ショウナンナデシコの勝利はまさに1年前の“デジャブ”といえるものだった。マルシュロレーヌはその8か月後にブリーダーズCディスタフ(G1)で大金星を挙げたが、ショウナンナデシコも大先輩と同じような成長曲線を描けるだろうか。
■悪いデジャヴを再現した武豊騎手
一方、悪い意味で“デジャブ”を再現してしまった騎手がいる。6番人気のウェルドーン(牝4歳、栗東・角田晃一厩舎)に騎乗していた武豊騎手だ。
直近の騎乗機会3回(2010、11、16年)すべてを勝利していた相性のいいこのレースで4連勝が期待されたのだが……。
「スタートが良くなかったです。狭いところで気を使いながら走っていました」
レース後の武騎手のコメント通り、スタートで立ち遅れたウェルドーンは、中団からの競馬を強いられた上に、道中は他馬に囲まれて終始ストレスがかかる状態。最後は勝ち馬から1秒8も離された6着でのゴールとなった。このレースを見たあるベテランライターは13年前の出来事を思い出したという。
「2009年のエンプレス杯みたいなレースでしたね。武騎手はこのとき、元祖白毛のアイドルホース、ユキチャンに騎乗していました。ユキチャンは、前年の関東オークス(G2)で日本競馬史上初の白毛馬による重賞制覇を達成するなど、南関東の牝馬ダート路線で活躍中でした。
先行策から早めに抜け出す競馬を持ち味としていたユキチャンですが、その年のエンプレス杯はスタートでまさかの立ち遅れ。中団から終始、力みながらの追走となり、直線伸びずに6着に敗れました。スタートで遅れたのが致命的でしたね」(競馬誌ライター)
先行したい馬がスタートを決められず、6着敗退……。今年のウェルドーンはまさに13年前のユキチャンのデジャブだったというわけだ。
その13年前は「きれいな体が汚れて『クロチャン』になってしまい、かわいそうだった」という武騎手のレース後コメントも話題となった。そのユキチャンだが、その後は一時期スランプに陥ったが、さらにダート重賞2勝を積み上げた。引退後は繁殖入りし、孫のメイケイエールなどが現役で活躍している。
ウェルドーンも同様にスランプを脱して、再び重賞舞台で勝利する……。そんな“デジャブ”を見せてくれるだろうか。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。