JRA 1戦1勝の素質馬が「3強」ムードを打ち破る!? チューリップ賞(G2)と好相性の血統を武器に故障を乗り越え重賞初挑戦!
5日、阪神競馬場ではチューリップ賞(G2)が行われる。桜花賞(G1)と同じ阪神1600mで行われるトライアル競走とあって、クラシックの舞台を目指す実力馬が激突する重要な前哨戦である。
今年のチューリップ賞は例年以上に強力なメンバーが集まった印象を受ける。とりわけ昨年末の阪神JF(G1)を勝利したサークルオブライフをはじめ、ウォーターナビレラ、ナミュールは世代トップクラスの実力馬たちであり、この3頭が人気を分け合うと見られている。
そんな「3強」のムードが漂う状況に待ったをかける存在として、1戦1勝の素質馬・ルージュスティリア(牝3歳、栗東・藤原英明厩舎)に注目したい。
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デビュー前から注目を集めていた馬であり、単勝1.4倍と圧倒的支持を受けた8月の新馬戦では上がり3F32.7秒をマークして快勝した。次走はアルテミスS(G3)を予定していたが、左前脚の球節付近に腫れが出たことから回避。今回の出走は新馬戦から7か月半ぶり、仕切り直しの1戦となる。
新馬戦で下したスターズオンアースが後にフェアリーS(G3)、クイーンC(G3)でそれぞれ2着に好走、この結果はルージュスティリアにも重賞級の力があると示すには十分なものであろう。
■好走を後押しする血統構成
チューリップ賞を考察するにあたって、血統に関するデータも本馬の好走を後押ししている。ルージュスティリアは父ディープインパクト、母父Storm Catといった血統構成になるが、ディープインパクト産駒は過去10年のチューリップ賞で最多の3勝を挙げており、レースとの相性は抜群である。
また、過去10年間で3着以内に入ったディープインパクト産駒は全部で9頭いるが、その内8頭は母父がノーザンダンサー系であった。父ディープインパクト×母父Storm Catの組み合わせでみても、マウレア(18年2着)、アユサン(12年3着)といった実績があり、血統面からもルージュスティリアには期待が持てる。
管理する藤原師は「何とか桜花賞に出したい」とコメント。1戦1勝とキャリアが浅い段階でもクラシックを意識した発言が出るあたり、厩舎サイドもこの馬の素質を高く評価していると伺える。
レースでは先日の京都牝馬S(G3)にて重賞98度目の挑戦にして初勝利を挙げた岩田望来騎手が騎乗する予定。連敗ストップで吹っ切れたのか、2月には月間トップとなる19勝をマークし、リーディング3位に浮上した。勢いそのままに、今度は藤原師との「師弟コンビ」での重賞制覇を狙う。
岩田望騎手とルージュスティリア、どちらも経験値ではライバルに一歩見劣るかもしれないが、持っている素質はトップクラス。才能あふれる人馬の、飛躍を目指す走りに期待したい。
(文=エビせんべい佐藤)
<著者プロフィール>
98年生まれの現役大学院生。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。幸か不幸か、進学先の近くに競馬場があり、勉強そっちのけで競馬に没頭。当然のごとく留年した。現在は心を入れ替え、勉強も競馬も全力投球。いつの日か馬を買うのが夢。