JRA弥生賞(G2)武豊「M.デムーロ挑発」も忍耐の2着!? 2歳王者ドウデュース初の敗戦でも安藤勝己氏「皐月賞見えた」と大絶賛した理由

ドウデュース 撮影:Ruriko.I

「勝って本番に向かいたかったが……」

 6日、中山競馬場で行われた皐月賞トライアル・弥生賞ディープインパクト記念(G2)は、3番人気のアスクビクターモアが勝利。出走馬唯一の“ディープインパクト産駒”が1勝クラスからの連勝を飾り、皐月賞(G1)へ大きく前進した。

「お試し騎乗」武豊に非難轟々!?

 その一方、キャリア初の敗戦を喫してしまったのが、単勝2.2倍の1番人気に支持されたドウデュース(牡3歳、栗東・友道康夫厩舎)だった。

 2走前のアイビーS(L)を3番手から抜け出し、前走の朝日杯フューチュリティS(G1)を中団から差し切って2歳王者に輝いたドウデュース。そしてこの日、本番の皐月賞を見据えて主戦の武豊騎手が選択したのは好位からの競馬だった。

 11頭立て2000mのレースでスタートを決めたドウデュースは、鞍上に促されて先行集団へ取りつく。その際、少し行きたがったが「それは許容範囲」と武豊騎手。折り合いもつき、十分な手応えで最後の直線を迎えたが、先に抜け出した勝ち馬を捕らえ切れずの2着に終わった。

 結果的にデビューからの連勝は3でストップ。本番の皐月賞を迎える前に1つケチが付いてしまった格好だが、記者は「むしろ皐月賞に繋がった」と話す。


武豊騎手の判断を絶賛した安藤勝己氏

「昨日のウォーターナビレラ(チューリップ賞)に続き、やはり先を見据えたトライアルの競馬でしたね。すでに賞金面で問題のないドウデュースにとって、この日の課題は初の中山コースと2000mでしたが、特筆すべきは3コーナーでの武豊騎手の判断だったと思います」(競馬記者)

 記者が指摘した3コーナーとは、後方にいたM.デムーロ騎手のロジハービンが一気に進出を開始したシーンだ。外から先頭に立とうという勢いで追い上げてきたロジハービンに、ドウデュースが反応。一瞬、2頭一緒に上がっていくかと思われたが、武豊騎手があえてストップを掛けている。

「あのシーンですが、武豊騎手はかなり強くドウデュースを抑えていましたね。勝ったアスクビクターモアが2番手からの競馬で、3着のボーンディスウェイが3番手。正直、あのままドウデュースがロジハービンと一緒に上がっていけば、そのまま押し切っていた可能性は高いと思います。

ただ、元JRA騎手の安藤勝己さんも(Twitterで)『ロジハービンに釣られるのを嫌って次に繋がる内容を選んだ』とおっしゃられている通り、今回はあくまでトライアル。初の2000mを戦う上で武豊騎手としては、勝つことよりも内容のある競馬をしたかったのだと思います。

もちろん、その上で勝てれば言うことなしだったのですが、もしこの日が皐月賞であれば、おそらく武豊騎手はそのまま捲っていったと思いますね」(同)

 この武豊騎手の判断には、安藤氏も公式Twitterで「ユタカちゃん(武豊騎手)には皐月賞が見えたはず」と賞賛している。

「トライアルとしての内容は良かった」

 レース後、今回の敗戦をそう総括した武豊騎手。残念ながら歴代最多を誇る9度目の弥生賞制覇はお預けとなってしまったが、4度目の皐月賞制覇を見据えての決断だったのかもしれない。

 

(文=大村克之)

<著者プロフィール>
 稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。

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