JRA M.デムーロ「奇策」からの「自滅」にファンも困惑!? 弥生賞(G2)1時間前の成功例が生んだ大誤算とは
6日、中山競馬場で行われた弥生賞ディープインパクト記念(G2)。主役は何と言っても武豊騎手の1番人気ドウデュース。デビューから3連勝で昨年の朝日杯FS(G1)を制し、無敗のままクラシックに挑めるかにも大きな注目が集まっていた。
「ここでロジハービンが最後方からグーンと動いていきました!」
レース実況でもそう触れられたのは、向こう正面から3コーナーにかけて最後方からの大捲りを開始し、一気に3番手まで押し上げる「奇策」に打って出た6番人気ロジハービン(牡3、美浦・国枝栄厩舎)とM.デムーロ騎手のコンビだった。
隊列に大きな動きのなかった展開に一石を投じるべく、道中から積極的に動いていったデムーロ騎手だったが、4コーナー手前で少し後ろに下がり始めたロジハービンにすかさず右鞭を一発入れるも反応がない。最後の直線に入っても、馬が力尽きているのか、鞍上も激しく追うことはなく7着に沈んだ。
レース後、一見「中途半端」とも取れるデムーロ騎手の騎乗ぶりに、ネット上の掲示板やSNSなどでは「何がしたいんだ」「捲りきってほしかった」「最後まで追わないのはなぜ?」など様々な疑問の声が上がった。
しかし、その後パトロールビデオがひとたびアップされると、ネット上の掲示板は急展開を見せ、激しい討論が繰り広げられた。どうやらデムーロ騎手の奇策は、単なる捲りというわけではなかったようだ。
■パトロールビデオで分かったこと
「パトロールビデオを見ると、ロジハービンが向こう正面を過ぎた辺りで行きたがる素振りを見せ、鞍上のデムーロ騎手は馬の気分に任せてそのまま一気に捲っていきました。そして3コーナーのカーブでドウデュースの進路を塞ぐように外側から被せに行き、そこで一度押し上げを止めて徹底マークに切り替えているようにも見えます。
これを嫌った武豊騎手が一度後退する場面がありましたが、そこはまさに仕掛けどころでした。最後は2着まで差して来ましたが、後退せずに進出できていれば……。
無敗だったドウデュース陣営にとっては勝てるレースを落としたという感じもします。レース後には武豊騎手も『勝って本番に行きたかった』と悔しそうなコメントを残していますし、周りに掻き乱されなければ結果は違っていたかもしれません」(競馬誌ライター)
後方から一気に先頭まで捲ることなく、途中で有力馬のマークに切り替えるといった戦法にでたデムーロ騎手だったが、実は同じような場面が当日の9Rにあった。
「デムーロ騎手は、弥生賞の約1時間前に行われた9Rの湾岸S(3勝クラス)でも5番人気のエドノフェリーチェに騎乗し、同じように最後方から捲っていました。この時も一気に先頭まで捲り切らずに、途中で川田将雅騎手の1番人気ビッグリボンと併走して激しく競り合っています。
結果的に競り負けたビッグリボンは6着に敗れ、エドノフェリーチェは2着に食い込みました。この成功例が弥生賞での奇策に繋がったのかもしれません。
しかしドウデュースを惑わすことが出来ても、肝心のロジハービンが惨敗していては本末転倒です。デムーロ騎手にとっては反省すべきレース内容だったのではないでしょうか」(同)
時に周囲が驚くような騎乗を見せるデムーロ騎手。2018年の大阪杯(G1)では、後方2番手にいた1番人気スワーヴリチャードで、見事な大捲りからの押し切り勝利を決めた事は記憶に新しい。
今回は敢え無く失敗に終わったものの、月末から始まる春のG1シーズンでデムーロ騎手の「奇策」が炸裂するか注目したい。
(文=ハイキック熊田)
<著者プロフィール>
ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?