JRA金鯱賞(G2)グランアレグリアに食い下がった2着馬が復調気配! 「現役生活の集大成」にあの穴馬の完全復活に期待
3月13日(日)、中京競馬場では金鯱賞(G2)が行われる。施行時期や距離が度々変更されてきた本競走だが、2017年に現在の3月開催に移設されて以降は、大阪杯(G1)の前哨戦としての役割を担っている。G1に繋がる重要なステップレースということで、今年もレイパパレ、サンレイポケットといった中距離の実績馬が多数出走を予定している。
レースの性質上、多くの馬は「次を見据えて」ここを使ってくるのだが、一方でこのレースに「現役生活の集大成」として臨むのがランブリングアレー(牝6歳、栗東・友道康夫厩舎)である。
ランブリングアレーを所有するのはクラブ法人である「社台レースホース」。クラブでは規定で「牝馬の現役生活は6歳3月末まで」と定められており、ランブリングアレーも今回の金鯱賞がラストランとなる予定だ。
引退間際の6歳牝馬、ピークは過ぎたと思われているのか『netkeiba.com』の推定単勝オッズでは11番人気と伏兵扱い。好メンバーの揃った今回の金鯱賞では厳しいという評価だが、実績面では全く見劣りしない。
ランブリングアレーは昨年の中山牝馬S(G3)で重賞初制覇。雨が強く降り続き、不良馬場で行われた1戦だったが、中団からしぶとく脚を伸ばし勝利した。レースでは終始外側を回り、かなり距離のロスがありながらの差し切り勝ちであり、相当のスタミナとパワーを持つことを示している。
続いて挑んだヴィクトリアマイル(G1)では不良馬場の中山から一転、好天に恵まれ超高速馬場と化した府中が舞台。流石に適性が向かないと思われ、前走重賞勝ちも単勝オッズは10番人気と低評価。レースでは下馬評を覆し、上がり33.2秒の強烈な末脚を繰り出し2着に激走。怪物・グランアレグリアには4馬身差をつけられたが、高速馬場でも通用することを示した。
しかし、昨秋はオールカマー(G2)、エリザベス女王杯(G1)に挑むも2戦とも惨敗。春の激走の反動か、流石に衰えたかに思われたが、年を跨いで挑んだ前走の小倉大賞典(G3)では2着に好走し復調。このレースでは実質トップハンデとなる斤量55.5kgを背負いながらも牡馬相手に好走、まだまだ戦える力があることを示している。
金鯱賞の舞台となる中京2000mは、昨年の愛知杯(G3)で2着に好走しており問題なし。実は左回りは先述のヴィクトリアマイルを含めて2戦2連対。使われていないだけで、左回りへの適性は十分にある。今回の金鯱賞は斤量が54kgと軽くなることもあり、好走が狙える条件は整っている。
最終追いきりはCWで調整。力強い足取りで、ラスト1ハロンは鋭く伸びて11.6秒をマーク。管理する友道師が「先週の坂路(4F・51秒7)でも行きっぷりが良く、元気いっぱいです」と話すように状態は上向いている。
ラストランで勝利を狙うならば、昨年勝った中山牝馬Sの方がメンバー的にもチャンスがありそうである。しかし陣営は金鯱賞への挑戦を決断。この強気の選択も、ランブリングアレーの状態を見て通用すると見込んだからこその判断だろう。
かつて戦った同期の牝馬、グランアレグリアとラヴズオンリーユーは昨年、共にラストランを勝利で飾りターフを去った。有終の美に向けて、出し惜しみは必要ない。ランブリングアレーの渾身の走りに期待したい。
(文=エビせんべい佐藤)
<著者プロフィール>
98年生まれの現役大学院生。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。幸か不幸か、進学先の近くに競馬場があり、勉強そっちのけで競馬に没頭。当然のごとく留年した。現在は心を入れ替え、勉強も競馬も全力投球。いつの日か馬を買うのが夢。