JRA阪神大賞典(G2)「青汁王子」の元所有馬が2年ぶりに重賞の舞台へ! 3か月で3勝を挙げた「昇り龍」が勢いそのままに初タイトルを狙う!
20日(日)、阪神競馬場で阪神大賞典(G2)が行われる。今年はディープボンド、ユーキャンスマイルといった長距離路線の実績馬に対し、「上がり馬」マカオンドールが挑む構図となっている。
マカオンドールは11月に2勝クラスを勝ち上がると、格上挑戦で挑んだ前走の万葉S(OP)も勝利。今回は古馬となって以来初の重賞挑戦となるが、2連勝の勢いを買われ、上位人気の一角と目されている。
実は今回の阪神大賞典にはもう1頭、勢い盛んな「上がり馬」が出走を予定している。それがキングオブドラゴン(牡5歳、栗東・矢作芳人厩舎)である。
キングオブドラゴンは2018年のセレクトセールで約1億1800万円(税込)の値がついた高額馬であるが、これを落札したのが同年にJRAの馬主資格を取得した三崎優太氏だ。当時「青汁王子」として一世を風靡していた三崎氏が落札した高額馬とあって、デビュー以前から注目を集めていた。
しかしデビューを控えた19年2月、三崎氏は脱税容疑で逮捕され馬主資格も剥奪されることに。馬主が三崎氏から窪田芳郎氏へ変更となったキングオブドラゴンはデビューこそ叶ったが、2戦目の未勝利戦で初勝利を挙げて以降は全く勝てず。当初の期待を考えると、物足りない結果に留まっていた。
元馬主の騒動に引っ張られるように低迷していたキングオブドラゴンであったが、昨年10月末に2年ぶりの勝利を挙げ1勝クラスを突破。その後は2着、1着を繰り返し、先月ついに3勝クラスを突破。ハーツクライ産駒らしい「晩成」で、約3か月の間にOP昇格を成し遂げた。
今回はオープン昇級初戦でいきなりの長距離G2。さらに中1週の出走となる。状態面が気になるところだが、最終追いきりは坂路で自己ベストタイとなる4ハロン52.5秒をマーク。厩舎スタッフも『日刊スポーツ』の取材に「動きは良かった。馬体の回復が思っている以上に早かったので、ここへ向かうことになった」と、好調を伺わせる旨のコメントを残している。
当初は来週に行われる日経賞(G2)と両にらみだった。距離や間隔を考えても日経賞の方が条件は向きそうに思えるが、陣営は阪神大賞典を選択した。管理する矢作師は連闘策にも定評があり、中1週での出走は状態が良い何よりの証拠であろう。名伯楽の慧眼がキングオブドラゴンの長距離適性を見抜いたとなれば、未知の条件でも期待が持てる。
長い低迷を乗り越え、一気に重賞戦線に名を連ねた勢いはまさに「昇り龍」。勢いそのままに長距離路線の主役に上り詰めるのか。上昇の一途を辿る、キングオブドラゴンの阪神大賞典での激走に期待したい。
(文=エビせんべい佐藤)
<著者プロフィール>
98年生まれの現役大学院生。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。幸か不幸か、進学先の近くに競馬場があり、勉強そっちのけで競馬に没頭。当然のごとく留年した。現在は心を入れ替え、勉強も競馬も全力投球。いつの日か馬を買うのが夢。