JRA「トリプル斜行」に戸崎圭太も福永祐一も嘆き節!? ファルコンS(G3)「スムーズなら」「進路をずらしたのが」異例の“大渋滞”で被害馬続出……
19日、中京競馬場で行われたファルコンS(G3)は、2番人気のプルパレイ(牡3歳、栗東・須貝尚介厩舎)が勝利。2着に13番人気タイセイディバイン、3着に6番人気のオタルエバーが入線したことで、三連単は23万9540円の大波乱となった。
出走馬に重賞勝ち馬どころか、重賞連対馬もいなかった大混戦。そんな中でも実績上位のプルパレイが、前走クロッカスS(L)2着の実力を見せつけた格好だ。
その一方で、不完全燃焼の競馬に終わってしまったのが、1番人気のトウシンマカオ。前走でプルパレイを負かしたクロッカスSの勝ち馬である。
18頭立て、芝1400mのレース。スタートを決めたトウシンマカオは、いつも通りの好位からの競馬になった。これには鞍上の戸崎圭太騎手も「流れには乗れていました」と評価。勝負どころの3、4コーナーでも手応え十分に思われた。
しかし、戸崎騎手とトウシンマカオにとって不幸だったのは、前を走っていたナムラリコリスの手応えが早々になくなってしまったことだ。
道中2番手追走と、序盤こそ見せ場を作ったナムラリコリスだったが、最後の直線を待たずして脱落寸前……。最終的に最下位に沈む前の馬が失速し始めたものの、馬群の中にいたトウシンマカオの逃げ場はほとんどなかった。
最後の直線を迎え、なんとかナムラリコリスをパスしたものの、すでに前は壁のような状態。大きく位置を下げたトウシンマカオは、必死に巻き返したが5着までが精一杯だった。
「うーん、不完全燃焼の競馬になってしまいました。レース後に勝ったM.デムーロ騎手が『今日は内が伸びていた』と話した通り、中京はまだ開幕2週目の土曜とあってインが絶好の馬場。そのため各馬が内に殺到し、最後の直線は大渋滞のようになってしまいました。戸崎騎手も「直線で少し渋滞しました」と嘆いている様子でしたね。
1番人気のトウシンマカオ以外にも、窮屈な競馬になった馬がたくさんいました。ちょっとイレギュラーなレースになってしまいましたね」(競馬記者)
レース後、デヴィルズマーブルの福永祐一騎手が「進路をずらしたのが余分」と言えば、ショウナンハクラクの坂井瑠星騎手も「スムーズなら2、3着争いができていた」と無念のコメント……。
一方でJRAからはレース後、オタルエバーの幸英明騎手、エイシンシュトルムの石川裕紀人騎手、ナバロンの川又賢治騎手にそれぞれ斜行があったと発表。記載された被害馬だけで4頭おり、トウシンマカオ以外にも、不完全燃焼の競馬に終わってしまった馬は少なくないようだ。
記者が振り返った通り、最後の直線では馬場コンディションの良いインに各馬が殺到。さらに最初の600m通過が33.1秒と、ハイペースになったことで最後の直線で前の馬が軒並み失速……馬群の中で競馬した馬たちにとっては、まさに逃げ場のない展開になってしまった。
「朝日杯フューチュリティS(G1)でも見せ場は作った存在ですし、戦ってきた相手が違うところをみせられたら」
レース前、『競馬ラボ』で好評連載中の『週刊 戸崎圭太』にて戸崎騎手がそう意気込みを語っていた通り、昨年の朝日杯FSでも6着に好走しているトウシンマカオ。同8着だったプルパレイとは2戦2勝だっただけに、本馬にも十分好勝負できる下地は揃っていたはずだったが……。
(文=大村克之)
<著者プロフィール>
稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。