JRA武豊×藤田晋コンビが見据えるドバイ制覇!? NHKマイルC(G1)有力候補ジャングロが示す「可能性」と、日本初の大偉業を成し遂げたパイオニアの存在
9日、中山競馬場で開催されたニュージーランドT(G2)は、3番人気のジャングロ(牡3歳、栗東・森秀行厩舎)が重賞初勝利。『ウマ娘 プリティーダービー』(Cygames)でお馴染みの藤田晋オーナーの愛馬が、5月のNHKマイルC(G1)へ向けて大きく前進した。
「やった! 初重賞です」
レース後、自身のTwitterを通じて喜びを伝えたのは、昨秋に馬主デビューを果たしたばかりの藤田オーナーだ。昨今の競馬界を席巻する一口馬主クラブを始め、多士済々なオーナーたちがひしめく中、わずか5度目の重賞挑戦で難なく初勝利。所有馬の多くが勝ち上がり、本人も「出来過ぎ」と語るほど順風満帆な馬主ライフをスタートさせている。
これには鞍上の武豊騎手も「この間(馬主)免許を取ったばかりで、ちょっと早すぎますね」と驚き。自身が出演する『ウマ娘』の新CMが翌日から放送されるとあって「明日でしょ? ギャラアップしてほしい」とジョークが飛び出すほどご機嫌だったようだ。
「あくまで表面上ですが、藤田オーナーを競馬界に誘ったのが武豊騎手と言われています。というのも2人は過去にライフスタイル誌『GOETHE[ゲーテ]』(幻冬舎)の対談企画に出演しており、その際に武豊騎手が『藤田さんが馬主として凱旋門賞を目指す、というのもありますよ(笑)』と冗談交じりに誘っていたからです。
もちろん、これだけで藤田オーナーが動いたわけではないでしょうが、少なくとも刺激にはなったでしょうね。誘った側の武豊騎手にしても、オーナーから主戦騎手のように扱われていますし、こうして重賞ゲットとなれば万々歳でしょう。知名度は抜群の2人ですし、このコンビが活躍すれば競馬界はますます盛り上がるでしょうね」(競馬記者)
まさに飛ぶ鳥を落とす勢いの名コンビだが、記者は芝の重賞ホルダーとなったばかりのジャングロが「将来、ダートで走っているかも」というから驚きだ。
来年のドバイワールドカップデーに出走?
「日本馬の大活躍に沸いた先日のドバイワールドカップデーですが、ゴドルフィンマイル(G2)を勝利して、その口火を切ったバスラットレオンは昨年のニュージーランドTの勝ち馬。その後、NHKマイルCのスタート直後に落馬するなど低迷しましたが、矛先をダートへ向けて見事に復活しました。
実は近年のニュージーランドTはダート適性を秘めた馬が上位に来やすい傾向にあり、例えば3年前の勝ち馬ワイドファラオも古馬になってから、交流重賞のかしわ記念(G1)を勝利しています。ジャングロもまずは芝でしょうが、将来的にダートを主戦場にしてもおかしくないですね」(別の記者)
実際にジャングロの父モアザンレディは、ブリーダーズCスプリント(G1)を連覇したロイエイチを輩出するなど、米国では主にダートのスピード型を輩出することで知られている。ジャングロの陣営にしても、芝のデビュー戦で敗れた直後にダートの未勝利戦で仕切り直しを図るなど、やはりダート適性を感じているようだ。
「ジャングロを管理する森厩舎といえば、日本競馬の海外遠征を切り開いたパイオニアのような存在。武豊騎手とのコンビでは、日本調教馬初の欧州G1制覇となったシーキングザパールのモーリス・ド・ギース賞(G1)が有名です。
現在も厩舎に預けてくれたオーナーへ、少しでも賞金で還元する信念は健在。チャンスと見れば地方から世界までどこでも遠征するのが森厩舎ですし、特に高額賞金が見込めるドバイには、毎年のように管理馬を遠征させています。今後のジャングロの活躍次第ですが、今年のバスラットレオンに続いて、来年のゴドルフィンマイルに出走していても特に驚けないですね」(同)
「オーナーが初めて(の重賞勝利)で、よかったです。こういう人が盛り上げてくれたらいいですね」
厩舎にとっても今年の初重賞となったニュージーランドT後、そう藤田オーナーを歓迎した森調教師。まずは「オーナーと相談して行くつもり」と語るNHKマイルCに全力投球だが、その視線はすでに大きな可能性を秘めた海外遠征を見据えているはずだ。
(文=銀シャリ松岡)
<著者プロフィール>
天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。好きな騎手は当然、松岡正海。