元JRA藤田伸二氏「先生が拗ねちゃってね」「何年干されたか…」名伯楽2人との「仲違い」にファンは興味津々、名手が語った真相とは

撮影:Ruriko.I

 JRA通算1918勝を挙げ、7年前にステッキを置いた元騎手の藤田伸二氏。引退後は、YouTube『藤田伸二チャンネル』なども運営し、歯に衣着せぬ物言いを売りに、レース回顧やファンからの質問にも答えている。

 11日の夜には、1時間近い時間を割いて生配信を届けた藤田氏。前半は、前日に行われた桜花賞(G1)の回顧がメインだったが、後半にはかつて「お世話になった」という何人かの調教師との思い出話に花を咲かせた。

 配信中にファンから現役屈指の名伯楽でもある藤原英昭調教師の「凄さ」を問われた藤田氏。「馬を操るということに関して、東西の調教師の中でも群を抜いてうまかった」と、藤原師自身が馬術の天才だったことを明かし、同厩舎が好成績を挙げている理由として、「藤原厩舎には、これでもかというくらい馬乗りの上手い人間(スタッフ)が集まっている」という見解を述べた。

名手が語った真相とは

 そんな藤田氏を最も熱く語らせたのは、すでに引退している名伯楽2人の話題が出た場面だった。

 1人目は、昨年2月に引退した松田国英元調教師である。ダイワスカーレットやキングカメハメハなど数多くの名馬を手掛けた名伯楽との思い出を聞かれた藤田氏。とある無名馬のデビュー戦の手綱を任されたことを思い起こした。

 行き脚がつかず最後方からの競馬となったその一戦。直線ムチを入れると「6~7馬身ぶっちぎって勝った」という。ところが2戦目に騎乗した際、おとなしかった馬が狂ったように煩くなっていたため、松田国元調教師に「先生、この馬もっと大事にしたら、絶対重賞勝てるよ」という“助言”を送ったのだ。

 ところが、松田国元調教師はこの“助言”を快く思わなかったのだろう。藤田氏曰く「先生が拗ねちゃってね……。それからしばらく首になったね。乗せてくれなくて……」と、悪気のない一言がきっかけで一時期、干されてしまったという裏話を明かした。

 話題に上ったもう一人が伊藤雄二元調教師だった。07年に引退するまで、ウイニングチケットやエアグルーヴを手掛け、通算1155勝を挙げた名伯楽である。

 そんな名伯楽との間にもやはりホロ苦い思い出があったようだ。

 ファンの一人から伊藤雄元調教師の名前が出ると、「どんだけ世話になったか、何年干されたか……」と、当時の複雑な心境を語り始めた。当時、伊藤雄元調教師が藤田氏にある馬の騎乗を依頼していたが、突如、O.ペリエ騎手に乗り替わってしまったという。

 それに納得ができなかった藤田氏は、「調教スタンドの前で新聞記者に(乗り替わりについて)文句を言っていた」。すると、藤田氏のすぐ背後にいたのが伊藤雄元調教師だった。

 その場から逃げるようにスタンドへと走り去ったという藤田氏だが、一部始終を聞かれていたのか、「そこから5~6年クビかな」と苦笑いを浮かべ、長らく干されていたことを明かした。

 このエピソードには続きがあり、仲違いした伊藤雄元調教師と藤田氏の関係修復に一役買ったのが、『メイショウ軍団』の松本好雄オーナー、スペシャルウィークを手掛けた白井寿昭元調教師、そして武豊騎手だったようだ。

「メイショウさんの新年会か何かで、(間を)取り持ってくれて……」「『謝りに行け』って言われてね。ユタカさんと白井先生に伊藤先生のところに連れていかれて、ちゃんと頭下げて謝ってね……。それからまた、(伊藤雄元調教師との関係が)復活した」という。

 これ以外にも角居勝彦元調教師の話題が上った場面では、名牝シーザリオへの騎乗依頼を最初にもらったことなど、まさに盛りだくさんの内容となった今回の生配信。当時を知るファンには“神回”だったといえるだろう。もし、まだ視聴していないという方はぜひチェックしてみてはどうだろうか。

(文=中川大河)

<著者プロフィール>
 競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。

関連記事

競馬最新記事

人気記事ランキング 17:30更新

競馬

総合

重賞レース特集
GJ編集部イチオシ記事
SNS