JRA皐月賞(G1)「三冠の法則」ナリタブライアン、ディープインパクト、オルフェーヴルも…歴代三冠馬8頭中4頭に共通点、2022年が示す「66.7%」とは
17日、中山競馬場では皐月賞(G1)が行われる。「最も速い馬が勝つ」といわれる牡馬三冠の第一関門、先頭でゴールを駆け抜けるのは果たしてどの馬になるのか。
下馬評では好枠12番を引き当てたドウデュースがやや抜けた人気を集めるという声もあったが、上位人気は拮抗している。
16日午前11時現在の1番人気はドウデュースで5.7倍、次いでデシエルト(6.0倍)、イクイノックス(6.6倍)、ダノンベルーガ(6.7倍)、ジオグリフ(8.7倍)、キラーアビリティ(8.8倍)と、6頭が単勝オッズ1桁台。さらにアスクビクターモア(11.7倍)、オニャンコポン(11.9倍)の2頭が僅差で続く混戦模様になっている。オッズ通りなら、今年の3歳牡馬クラシック路線には飛び抜けた存在がいないといえそうだ。
ところが、今年は皐月賞を制した馬がそのまま日本ダービー(G1)と菊花賞(G1)を制する可能性が高いという。どういうことか。
5月29日のダービー開催は「三冠馬誕生」の予兆?
「オカルト的なものですが、5月29日にダービーが行われる年は三冠馬が生まれやすいんですよ。今年のダービーはまさに5月29日に開催です。三冠レースのうち最後に創設された皐月賞(当時の名称は横浜農林省賞典四歳呼馬)が始まったのは1939年です。それ以降、ダービーが5月29日に開催された年は10回ありました。そのうち、なんと4回で三冠馬が誕生しています」(競馬誌ライター)
JRA史上、8頭いる牡馬三冠馬のうち半数の4頭が5月29日にダービーが開催された年に三冠馬に輝いている。特に1983年以降は、1983年ミスターシービー、1994年ナリタブライアン、2005年ディープインパクト、2011年オルフェーヴルの4頭が達成。“三冠率”は異常なほど高い。
その期間で、三冠馬が生まれなかったのは1988年(ヤエノムテキ、サクラチヨノオー、スーパークリーク)と、2016年(ディーマジェスティ、マカヒキ、サトノダイヤモンド)の2回だけ(カッコ内は順に皐月賞馬、ダービー馬、菊花賞馬)。つまり、過去40年ほどに限れば、5月29日にダービーが開催された年の三冠馬誕生率は6分の4で、66.7%ということになる。
逆説的に考えれば、今年は三冠達成に近い馬を探すことが皐月賞的中の近道となりそう。そういう点でドウデュースはやや厳しいかもしれない。昨年は2歳マイル王に輝いたように、スタミナよりスピードがやや勝ったタイプで、秋には凱旋門賞(G1)への登録を予定している。陣営も現時点で菊花賞まで眼中にはないだろう。
血統的に3000mまで持ちそうなのが、菊花賞馬キタサンブラック産駒のイクイノックス、そしてディープインパクト産駒で2000m戦の勝ち鞍があるキラーアビリティ、アスクビクターモアあたりか。
「日本ダービーが5月29日に行われる年は三冠馬が誕生する」――。盲目的にこの“オカルト”を信じるなら、皐月賞は“見”を決め込んで、ダービーと菊花賞で大勝負をかけるのも有りかもしれない。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。