JRAフィエールマン彷彿の「遅れてきた大器」が7馬身差圧勝で2連勝! 皐月賞(G1)前日に新スター候補誕生で、日本ダービー戦線へ急浮上!?
牡馬クラシック第一弾・皐月賞(G1)の前日、昼下がりの中山競馬場に衝撃が走った。
16日、中山競馬場で行われた9Rの山藤賞(3歳1勝クラス)は、C.ルメール騎手のローシャムパーク(牡3、美浦・田中博康厩舎)が優勝。単勝1.7倍の断然人気に応えて、前走の未勝利戦に続く見事な連勝を決めた。
9頭立ての芝2000mで行われたレース。8枠8番からスタートを無難にこなすと、道中は中団の外目を追走する。前半1000m通過タイム1分1秒5のスローペースのなか、捲り気味に押し上げていくと、向正面で早くも先頭に立つ。そのまま単騎で逃げる形にシフトし、抜群の手応えで最後の直線を迎えた。
ここからは、まさにローシャムパークの独壇場だった。鞍上から軽くGOサインが出ると、それに応える様にグングンと加速。みるみる後続を突き放し、最後は2着のレッドランメルトに7馬身差をつける大楽勝だった。
遅れてきた大物、今後の目標は?
レース後、手綱を取ったルメール騎手は「最初は後ろの位置から、ペースが遅くなったのでポジションを上げて行きました。マイペースでリラックスできました」とコメント。ペースを読み切った鞍上の巧みな好騎乗も光った。
「ローシャムパークのデビューからの2戦は、能力は感じるものの差し遅れが目立つ内容でした。しかし3戦目の前走は、ルメール騎手が早め先頭からレースを進め、最後の直線ではムチを入れることなく2着に4馬身差をつける圧勝。前に行く競馬で新味を見せました。
今回は昇級初戦でしたが、同じように道中で押し上げて行って、早め先頭から直線では後続を突き放す強い内容。稍重の馬場でありながら勝ち時計の2分0秒3は、開催時期こそ違いますが、同条件で行われた先月の弥生賞ディープインパクト記念(G2)で勝ち馬アスクビクターモアが良馬場でマークした2分0秒5を上回る好タイムです。
最後は余力もありましたし、今後へ期待はさらに高まりそうです。次戦は未定ですが、順調ならダービートライアルの青葉賞(G2)やプリンシパルS(L)に向かう可能性もあるでしょう。権利を獲得できるようなら日本ダービー(G1)でも面白い存在となるのではないでしょうか」(競馬誌ライター)
ちなみに山藤賞を勝った馬には、2018年に勝利したフィエールマンがいる。
同馬はこのレースを完勝した後、ダービーへは向かわずにラジオNIKKEI賞(G3)へ。2着に敗れたものの、秋にはルメール騎手とのコンビで挑戦した菊花賞(G1)で、7番人気の低評価を覆して大金星をあげた。その後も同コンビで天皇賞・春(G1)を連覇するなど、名馬への階段を駆け上がったことは競馬ファンの記憶にも新しいだろう。
自身の体質の弱さから休養を挟みながらでしかレースを使うことが出来ず、ダービー出走こそ叶わなかったが、後の活躍からも「仮に順調だったらダービーでも好勝負できたのでは」と想像するほどの逸材だったことを思い出す。
ローシャムパークにとって、フィエールマンは同じサンデーレーシングの先輩にあたるわけだが、今回の内容を比較しても負けず劣らずの素質を秘めていると感じる。特に早めに前へ行く新スタイルになってからの活躍は目覚ましく、日本ダービーや菊花賞への距離延長はむしろ望むところだろう。
前走に続く圧勝劇を見せた「遅れてきた大器」が、フィエールマンが果たせなかったダービー出走へ向け、クラシック戦線へ殴り込みをかけるか。今後、ますます注目が集まりそうな一頭だ。
(文=ハイキック熊田)
<著者プロフィール>
ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?