JRA天皇賞・春(G1)タイトルホルダー16番、ディープボンド「絶望的」大外枠! 揃って入った「死に枠」で二強シナリオは早くも崩壊?
5月1日に行われる天皇賞・春は、JRAが開催する最長距離となる芝3200mのレースにスタミナ自慢が集結する伝統の一戦。例年に比して小粒といわれるメンバーではあるが、これから始まる6週連続G1開催に向けて、好レースに期待したい。
『netkeiba.com』が公開している単勝予想オッズによると、1倍台の断然人気に支持されそうなのが、阪神大賞典(G2)を制したディープボンド。3倍前後の2番人気タイトルホルダー、3番人気想定のテーオーロイヤルは10倍を超えており、二強以外は大きく離されている。
下馬評的には、ほぼディープボンドとタイトルホルダーによる一騎打ちの様相。海外でも重賞を制した実力馬と昨年の菊花賞馬の組み合わせだけに、実績的にも他馬とは歴然の差があるということか。
とはいえ、終わってみないと分からないのも競馬。過去にも堅いと思われていたレースが、想像もつかないような大波乱の決着となった例は山のようにある。
「死に枠」で二強シナリオは早くも崩壊?
28日に発表された枠順は、タイトルホルダーが16番でディープボンドに至っては18番という大外。二強のどちらも8枠を引いたことで、既に不穏なムードが漂っている。
また、天皇賞・春の舞台は、例年の京都ではなく昨年に続き阪神での開催。今春のG1は大阪杯と桜花賞の2レースを終えたが、いずれも8番人気ポタジェや7番人気スターズオンアースといった伏兵が勝利する波乱の決着。勝利の決め手となった両レースの共通点は、
吉田隼人騎手や川田将雅騎手の外を回さない「クレバー」なコース取りだった。
芝3200mの長丁場にもなれば、スムーズな競馬を出来なかったときのロスは、マイルの桜花賞や2000mの大阪杯の比ではない。騎手の手腕が占める比重が高くなるだけに、「長距離は騎手で買え」という競馬の定石に注目したいところ。
宝塚記念(G1)をミッキーロケットで勝利した和田竜二騎手だが4年前。それより前のG1勝ちは17年前の2001年テイエムオペラオ―まで遡る必要があり、断然人気のディープボンドとて過度な信頼はできないかもしれない。
タイトルホルダーの横山和生騎手にしても他人事ではない。G1には過去11鞍の騎乗経験があるものの、大舞台での実戦経験の乏しさは大きな割引材料だ。これまでのような人気薄の馬と異なるタイトルホルダーでは、昨年の有馬記念(G1)で5着に入ったが、初G1の懸かる舞台で勝ち負けに期待できる馬とのコンビ。想像を絶するプレッシャーの中で冷静な手綱捌きをできるかどうか。
そんな両者にとって致命傷となりかねないのが、先述した8枠という不利な条件だ。ちなみに過去20年の天皇賞・春において、3番人気以内に支持された馬は6頭。2012年に3番人気トーセンジョーダンの2着があるくらいで、それ以外の5頭は馬券圏内にも入れない惨敗を喫していた。
■天皇賞・春、過去20年で16番以降に入った3番人気以内の馬
2009年アサクサキングス 1番人気9着、スクリーンヒーロー 2番人気14着
2012年トーセンジョーダン 3番人気2着、オルフェーヴル 1番人気11着
2015年アドマイヤデウス 3番人気15着
2016年ゴールドアクター 1番人気12着
これらを見て気になったのは、実は1~2番人気の馬が一度も馬券圏内に入っていない現実である。データ的には京都開催となるため、阪神開催の今回にそのまま当てはめることに誤差は生じるが、伝統の長距離G1の側面を考えた場合、軽視はしにくいだろう。
レースが始まる前から思わぬハンデを背負わされてしまったディープボンドとタイトルホルダーの2頭だが、この絶望的にも思える「死に枠」を跳ね返すことが出来るか。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。