JRA天皇賞・春(G1)ビワハヤヒデとワールドプレミア「仁川の長丁場」を制するために必要なもの…「黄金の不沈艦」の血を継ぐ「末脚特化型」が急浮上!?
5月1日に行われる天皇賞・春(G1)は京都競馬場の改修工事に伴い、昨年に引き続き阪神競馬場で開催される。阪神競馬場で代替開催されるG1レースは菊花賞(G1)、エリザベス女王杯(G1)などいくつか存在するが、いずれも同一条件で行われる重賞競走が存在するため、ある程度の傾向の推察は可能だ。
それに対して、天皇賞・春の舞台となる「阪神3200m」で行われる重賞競走は他に存在しないどころか、1986年以降に使用されたのはわずかに4度のみ。過去の傾向からコースの特徴を掴むことが難しく、予想にあたって頭を悩ませている方も多いのではないか。
しかし、阪神競馬場で行われた2度の天皇賞・春を振り返ると、「仁川の長丁場」を制するために「必要なもの」が見えてくる。
スタミナだけじゃない。阪神3200mに必要なもの
ビワハヤヒデが制した94年、ワールドプレミアが制した21年の天皇賞・春は阪神開催であったが、それぞれレースでの「上がり3ハロン」で1位、2位のタイムを記録した馬のワンツー決着となっていた。
一方、京都開催で行われていた11年~20年までの10年間では「上がり3ハロン」で1位、2位の馬の成績は(4-6-3-11)と良好だが、3位以下の馬の成績も(6-4-7-125)と決して悪くはない。連対した馬の数はちょうど半分の10頭ずつと割れており、必ずしも「上がり3ハロン」のタイムが成績に直結しているわけではない。
この阪神と京都の大きな特徴の違いの1つに、ゴール前の坂の有無が挙げられる。阪神競馬場のようなゴールの手前に急坂があるコースでは、スタミナが切れた馬や、上り坂でスピードを維持するパワーの無い馬が最後の直線で振るい落とされる。最後の最も苦しい局面でスピードを維持して坂を駆け上がる「推進力」が仁川の長丁場を攻略するカギとなる。
こうした傾向を踏まえて、浮上するのがマカオンドール(牡4歳、栗東・今野貞一厩舎)である。
古馬重賞初挑戦となった前走の阪神大賞典(G2)では4着に敗れたが、後方から猛然と追い上げをみせて上がり3ハロン2位のタイムをマークした。その前の4走では、いずれも上がり最速をマークしている。
また、マカオンドールの父は阪神大賞典を3連覇した「黄金の不沈艦」ゴールドシップである。猛烈な追い込みが身上であった父譲りの強烈な「末脚」は仁川の天皇賞・春で大きな武器になるはずだ。
今回のレースで「2強」の一翼を担うタイトルホルダーは、過去に出走したレースで上がり2位以内の末脚を記録したことが一度も無い。阪神開催となった2度の天皇賞・春の傾向から考えるに、「末脚勝負」になればマカオンドールが「2強」の一角を崩すことも不可能ではないはずだ。
ビワハヤヒデとワールドプレミア、2頭に見えた「仁川の長丁場」攻略のカギ。強烈な「末脚」を持つマカオンドールは「2強」に割って入ることができるのか、パワフルな走りが呼び込む波乱の展開に期待したい。
(文=エビせんべい佐藤)
<著者プロフィール>
98年生まれの現役大学院生。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。幸か不幸か、進学先の近くに競馬場があり、勉強そっちのけで競馬に没頭。当然のごとく留年した。現在は心を入れ替え、勉強も競馬も全力投球。いつの日か馬を買うのが夢。