米三冠競走登録の素質馬が、日本ダービー(G1)挑戦!? 芝転向でいきなり6馬身差圧勝!世界の矢作が送る「未知の大器」がダービー切符奪取を狙う
今週土曜に中京競馬場で行われる京都新聞杯(G2)は、日本ダービー(G1)への最後の切符をかけての激戦が期待される。
その中で、『netkeiba.com』の現在の単勝予想オッズでは100倍超えの人気薄ながら、まだまだ底を見せていない魅力を秘めているのが、未勝利勝ちから日本ダービーへの切符取りに挑むミスターホワイト(牡3歳、栗東・矢作芳人厩舎)だ。
同馬は、京都新聞杯が行われる同日に第1戦ケンタッキーダービー(G1)を迎える、アメリカ三冠競走に予備登録をした経緯のある期待馬だ。アメリカ三冠を視野に入れているだけあって、武豊騎手を背にデビューから3戦続けてダート戦を使われていた。しかし、結果は2着、2着、5着と勝ち切れないレースが続いていた。
しかし、前走は一転、芝2000mの未勝利戦に出走。レースではスムーズに道中2番手を確保すると、直線入り口では先頭に立ち、後続を突き放す一方。終わってみればメンバー最速の上がりで2着馬に6馬身をつける圧勝。芝転向に一発回答で結果を出した。
さらに、この日は午前中から小雨が降り続き、芝コンディションは稍重だったが、翌週に良馬場で行われた古馬1勝クラスの勝ち時計を0.3秒上回る好時計での勝利だった。
ミスターホワイトを管理するのは、近年世界を舞台に活躍する矢作厩舎だ。
「世界の矢作」の慧眼
日本では、まだ超一流とは言えない馬でも、それぞれの適性を見抜き、世界で活躍させてきた矢作調教師。今回のミスターホワイトの芝挑戦に関しても、ここまでダート戦で善戦していただけに、勝ち上がるのも時間の問題だったはずだ。
そんなミスターホワイトが芝転向初戦で圧巻のパフォーマンスを見せただけに、矢作調教師の彗眼と言うべき他にない。
未勝利戦とはいえ、これだけ圧勝劇を演じただけに中1週でも日本ダービーのトライアル参戦を決断したのは、如何にも矢作流といった強気のローテーション。東京で行われるプリンシパルS(L)にもダブル登録していただけに、意欲は十分といったことろだ。
今回は未勝利戦上がりである事や、ダートを主に使われていた事を懸念してか人気薄となりそう。ただ、その未勝利戦は直線の最後は流す余裕もありながら好時計を記録。まだまだ奥がありそうだ。
また、芦毛馬でダートから芝への華麗なる転身といえば、代表馬としてオグリキャップを連想するファンも少なくないだろう。笠松競馬出身の同馬だが、3歳春にダートから芝へ挑戦したのはミスターホワイトと同じ。その後の中央競馬を席巻したのは、多くのファンが知るところだ。
果たして、芦毛の未完の大器はダービーの最終切符を掴み取る事ができるのか。頂上決戦最終便の熱い争奪戦に期待したい。
(文=椎名佳祐)
<著者プロフィール>
ディープインパクトの菊花賞を現地観戦し競馬にのめり込む。馬券はアドマイヤジャパン単勝勝負で直線は卒倒した。平日は地方、週末は中央競馬と競馬漬けの日々を送る。