JRA今村聖奈2日連続Vで新人王へ名乗り! 古川奈穂と2人で作る「女性騎手・新時代」…大躍進を支える「超強力バックアップ」の存在
春G1の激戦が続く競馬界。今週末はヴィクトリアマイル、来週はオークスと牝馬限定のビッグレースが2週にわたって行われる。乙女たちの熱戦に期待が高まるが、その一方でターフを彩る女性騎手たちもまた奮闘をみせている。
中でも特に活躍が目立つのが、ルーキーの今村聖奈騎手である。先週末は新潟競馬場で騎乗し、土日で1勝ずつを挙げる活躍を見せた。
今村騎手はデビューした3月に4勝を挙げてスタートダッシュに成功したものの、4月は一転して勝利から遠ざかる悔しい結果に。上位騎手がひしめく阪神開催で結果を残すのは難しかったようだが、それでも最終日の先月30日には、7鞍の騎乗で3度馬券内に食い込む奮闘もあった。今週から新潟開催へ参戦し、阪神で苦しみながらも地道に磨いた実力がローカル開催で一気に爆発した形だ。
2日連続の勝利で今季はこれで合計6勝、角田大河騎手と並ぶ新人トップタイに浮上した。この調子で勝ち星を積み重ねていけば、女性初となる最多勝利新人騎手の受賞にも期待ができそうだ。
新人である今村騎手の活躍に負けじと、2年目の古川奈穂騎手にも飛躍の予感がある。勝ち星こそ4勝に留まっているが、87回の騎乗で複勝率は驚異の24.1%を記録。この数字は騎手全体の中でも30位の好成績であり、池添謙一騎手や石橋脩騎手といったG1での騎乗も多い先輩騎手に匹敵している。
特筆すべきは、古川奈騎手の騎乗のほとんどが中京・阪神開催に集中している点だ。ローカル開催での騎乗は福島での3鞍のみであり、西のメイン開催で先輩騎手に揉まれながらも高い複勝率をマークしているのは実力の証である。最近では忘れな草賞(L)やスイートピーS(L)といった大舞台へ繋がる重要なレースでの騎乗機会も得ており、着実にステップアップをしている印象だ。
着々と成績を伸ばしている2人の女性騎手。この躍進は当人たちの努力の成果であることはもちろんだが、たとえ騎乗技術が向上したとしても馬質に恵まれなければ、結果を残すのは難しい。実はこの2人の躍進を支える要因として「超強力バックアップ」の存在が挙げられる。
今村騎手にはエージェントとして、競馬ブックの小原靖博氏がついている。トップジョッキーである福永祐一騎手を支える敏腕エージェントである小原氏の手厚いサポートが、今村騎手の好成績を支えている側面は大きい。
実際に、同じく小原氏がエージェントを務める岩田望来騎手はデビュー初年度から37勝を挙げる活躍。2年目はリーディング9位、3年目は6位につけ、今年は現時点でリーディング2位につけ、4年目とは思えない大活躍をみせている。2月の京都牝馬S(G3)を勝利するまでは「重賞97連敗」を喫していたが、それでも平場では馬質にも恵まれ、着実に勝利を積み重ねてきた。これは小原氏のサポートがあってこその結果であろう。
また、最近では福永騎手が騎乗できない場合の代役として、有力馬に岩田望騎手が騎乗するケースも散見する。「チーム小原」の一員である今村騎手も、順調に力をつけていけば、ビッグレースで有力馬に騎乗するチャンスも巡ってくるはずだ。
古川奈穂と2人で作る「女性騎手・新時代」
一方で古川奈騎手の大きな支えとなっているのが、師匠である矢作芳人師の存在。古川奈騎手は今季の騎乗の半数以上が所属先である矢作厩舎の馬であり、名門厩舎のバックアップを基に、先述した好成績を収めているといえる。
また、昨年に古川奈騎手が怪我で休養をしていた際には、矢作師に帯同する形でフランスやアメリカへ渡った。騎乗馬の手配だけではなく、世界を知る矢作師による「英才教育」も古川奈騎手にとって大きな糧となっているはずだ。
実際に同様の「英才教育」を施された兄弟子の坂井瑠星騎手は、先日ドバイにて海外重賞初制覇。今季はリーディング10位につけており、着実に力を伸ばしている。国内外で活躍をみせる兄弟子のように、古川奈騎手にもスケールの大きな活躍が期待できそうだ。
「強力バックアップ」を受けて堅実に成長を遂げる今村騎手と古川奈騎手。2人が今後も活躍を続けていけば、藤田菜七子騎手や永島まなみ騎手、まだ見ぬ未来の女性騎手たちも触発されていくはずだ。新進気鋭の2人が引っ張る「女性騎手・新時代」の行く末に注目したい。
(文=エビせんべい佐藤)
<著者プロフィール>
98年生まれの現役大学院生。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。幸か不幸か、進学先の近くに競馬場があり、勉強そっちのけで競馬に没頭。当然のごとく留年した。現在は心を入れ替え、勉強も競馬も全力投球。いつの日か馬を買うのが夢。