JRAソダシ、レシステンシア「丸呑み」の豪脚娘が波乱の使者!? 馬場・展開を味方にヴィクトリアマイル(G1)名物リピーターの存在を侮るなかれ
15日に東京競馬場で行われるヴィクトリアマイル(G1)、今年は牝馬の一線級が勢ぞろいの豪華メンバーが集まり話題を呼んでいる。誤魔化しの効かない府中マイルでの一戦であり、有力馬による順当決着をイメージしているファンも多くいるだろう。
だが一方で、週末にかけて府中は雨模様。波乱の雰囲気も漂いつつある。
そもそもヴィクトリアマイルは牝馬限定戦という特性からも、なかなか順当決着とはいかないことが多い。過去10年のヴィクトリアマイルを振り返っても6度も10番人気以下の馬が馬券に絡んでいるように、荒れる傾向の強いレースである。
波乱の傾向に拍車をかけるように、今年は人気サイドの馬たちにそれぞれ不安要素が存在。特にソダシは白毛一族の牝系からくる気性難が見え隠れしつつあり、次第に抑えが効かなくなりつつある。
また、レシステンシアは前走の高松宮記念(G1)で前半3ハロン33.4秒の暴走気味のペースで逃げを打っており、そこから2ハロンの距離延長で挑む今回は、再びの暴走の可能性を秘めている。
レースを引っ張ると思われるソダシ、レイパパレの2頭がそれぞれ折り合いの面で不安を抱えており、2頭の出方次第ではハイペースの消耗戦になる可能性も考えられる。加えて今の府中の馬場は比較的差しが決まりやすい傾向、前崩れの展開になれば、先週のNHKマイルC(G1)のような差し馬による決着も十分にあり得る。
中間から週末にかけての雨も、差し有利の馬場を助長するだろう。よって今回のヴィクトリアマイルではタフな馬場を苦にせず、前崩れの展開を味方にできる差し馬を狙いたい。
人気馬の陰に隠れたヴィクトリアマイル名物
この条件に該当する狙い目として注目したいのが、マジックキャッスル(牝5歳、美浦・国枝栄厩舎)である。
マジックキャッスルは昨年のヴィクトリアマイルで3着に好走、重賞で6度連対経験がある実績馬。しかし昨秋の府中牝馬S(G2)で15着に大敗して以降、近3戦では低迷しており、今回は『netkeiba.com』の予想オッズでも単勝8番人気となるなど伏兵候補の一角に留まっている。
しかし前走の阪神牝馬S(G2)では、内有利の馬場を大外から差して5着に食い込んでいる。上がり3ハロン2位の末脚を見せており、復調の気配を感じる内容であった。
また、ディープインパクト産駒である点や、昨年のヴィクトリアマイルの走りから高速馬場が得意なタイプと思われているが、実はタフな馬場も苦にしない。
稍重であった一昨年の秋華賞(G1)ではデアリングタクトの2着に好走、良馬場発表ながらも洋芝かつ雨が降るタフなコンディションで行われた昨夏のクイーンS(G3)でも2着に好走している。馬場不問でパフォーマンスを発揮できる馬であり、中間から週末にかけての雨も、マジックキャッスルにとっては相対的に「恵みの雨」といえるだろう。
加えて、今回は3戦ぶりに戸崎圭太騎手に手が戻る点も好材料。マジックキャッスルのキャリアの中で最も多く手綱を握っている戸崎騎手で、過去7度の騎乗で(2-3-1-1)の成績を残しており、人馬の相性は抜群である。
昨年3着の実績がありながら、近走の低迷から伏兵扱いに留まっているマジックキャッスル。しかし今回は復調気配に加えて、馬場や展開も味方にできる公算が大きい。波乱の香りが漂うヴィクトリアマイル、人気馬を丸ごと飲み込む「豪脚娘」の末脚炸裂に期待してみてはいかがだろうか。
(文=エビせんべい佐藤)
<著者プロフィール>
98年生まれの現役大学院生。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。幸か不幸か、進学先の近くに競馬場があり、勉強そっちのけで競馬に没頭。当然のごとく留年した。現在は心を入れ替え、勉強も競馬も全力投球。いつの日か馬を買うのが夢。