
JRA「当たり年」ハービンジャー産駒が期待外れに終わったクラシック…種牡馬としての命運握る「最後の希望」は2歳世代?

昨年6月から続いた現3歳世代の戦いも、オークス(G1)、日本ダービー(G1)が終了してひと区切り。牝馬ではスターズオンアースが重賞未勝利からの大逆転で二冠を達成、牡馬ではドウデュースが武豊騎手を背に世代の頂点の座を掴んだ。
ここまでのクラシックロードを振り返ると、印象的であったことの1つにハービンジャー産駒の奮戦が挙げられる。牡馬ではアライバルやロジハービン、牝馬ではナミュールやプレサージュリフトといった面々が重賞で結果を残し存在感を見せていた。
種牡馬としての命運握る「最後の希望」は2歳世代?
「当たり年」とも言われ期待を集めていたハービンジャー産駒たちであったが、クラシック本番が終わってみれば牡馬は1頭も出走が叶わず。ロジハービンは弥生賞ディープインパクト記念(G2)で惨敗後に骨折が判明して戦線離脱、アライバルはスプリングS(G2)で2着に入り、皐月賞(G1)の優先出走権を確保したが、脚元の不安から出走を回避することとなった。
牝馬ではナミュール、プレサージュリフトの2頭がクラシック2戦に出走、桜花賞(G1)ではそれぞれ1番人気、4番人気の高い評価を受けていたが、結果は2頭共に人気を裏切る惨敗。続くオークスでもナミュールが3着に食い込むのが限界であった。
ハービンジャーは2016年から17年に産駒のディアドラ、モズカッチャンがG1で結果を残した影響から評価が高まり、18年、19年にはそれぞれ200頭をこえる種付け頭数を誇った。しかしその後は急激に数を減らし、21年の種付け頭数はわずかに81頭となっている。
現3歳は18年に種付けが行われた世代であり、ハービンジャーの種牡馬としての命運を分ける「勝負の世代」であった。当初は順調に結果を残し、期待が高まっていただけに、クラシック本番での凡戦には関係者も肩を落としたに違いない。
昨年にはハービンジャー産駒の牡馬でG1を制したブラストワンピース、ペルシアンナイトの2頭が共に引退したが、両馬ともに種牡馬入りは叶わず。今後は更に産駒が減っていくことを考えれば、後継種牡馬の輩出は徐々に厳しい状況となるだろう。
ハービンジャーの種牡馬としての強みは、日本競馬で飽和しつつあるサンデー系、キングマンボ系の血を引く繁殖牝馬と配合しやすい「ノーザンダンサー系」である点だ。しかし今年は同じくノーザンダンサー系であるドレフォンの初年度産駒・ジオグリフがいきなり皐月賞を制覇。今後は同系統としての需要がドレフォンに流れていくことも予想され、ハービンジャーの立場は更に厳しいものとなる。
今月からは新たな世代の戦いが幕を開けるが、現2歳のハービンジャー産駒は19年に217頭もの種付け頭数を誇った世代にあたる。以降の世代は大きく産駒が数を減らすことを考えると、現2歳世代はハービンジャーにとっての「最後の希望」ともいえる。
果たして現2歳世代から大物が表れ、種牡馬としての期待を取り戻すことができるのか。今年の2歳戦では、ハービンジャー産駒の活躍に注目していきたい。
(文=エビせんべい佐藤)
<著者プロフィール>
98年生まれの現役大学院生。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。幸か不幸か、進学先の近くに競馬場があり、勉強そっちのけで競馬に没頭。当然のごとく留年した。現在は心を入れ替え、勉強も競馬も全力投球。いつの日か馬を買うのが夢。
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