JRAエプソムC(G3)傘マーク出現で「421万馬券」の衝撃再び!? 大目標回避の理由は「愛だろ愛」…師弟愛光る特注馬に抜群の勝負気配

トーラスジェミニ

 今週末の中央競馬は東京、中京、函館の3場開催。12日には東京競馬場で第39回エプソムC(G3)が行われる。

 フルゲート18頭にエントリーしたのは12頭。やや寂しい頭数になってしまったが、上がり馬ジャスティンカフェを中心に重賞勝ち馬が半数を超える8頭と好メンバーが集まった。

 そんな中、『netkeiba.com』の予想オッズで9番人気(8日現在)のトーラスジェミニ(牡6歳、美浦・小桧山悟厩舎)が勝負気配を漂わせている。

 同馬が最後に勝利を収めたのは、昨年7月の七夕賞(G3)。それ以降は7戦しているが、2走前の黒船賞(G3)8着が最高着順で、芝を走った他の6戦はすべて2桁着順と低迷している。

 前走のダービー卿CT(G3)では、先行馬総崩れの厳しい展開も相まって12着に大敗。その後は昨年5着した安田記念(G1)に向かうプランもあったが、エプソムCへと矛先を変えてきた。

大目標回避の理由は「愛だろ愛」

 このレース選択について、内幕を知る『競馬ブック』の赤塚俊彦記者は自身のTwitterに次のようにつぶやいている。

「安田記念を予定していたトーラスジェミニ。 しかし特別登録に名前がない」と投稿し、続けて小桧山師のコメントも紹介した。

「オーナーとも原がG1に乗れるなら彼で使おうと話していたんだ。ちょっと間に合わなそう(G1騎乗には通算31勝必要)だからね。エプソムCにするよ」

 小桧山師の英断に赤塚記者は、「愛だろ愛」というハッシュタグを付け「騎手に合わせて昨年5着したG1を回避とは」と自身の考えを綴った(5月26日)。

原優介騎手

 小桧山師のコメントにあった原というのはもちろん3年目の若手・原優介騎手のことだ。先週末の時点で通算25勝なので、まだG1には騎乗できない身である。そのため、トーラスジェミニが安田記念に出走する場合は、乗り替わりが必要だった。オーナーの理解はもちろんだが、小桧山師と原騎手の「師弟愛」がうかがえるエピソードといえるだろう。

「もし安田記念に出走していても、惨敗続きの近走の結果から苦戦は必至だったと思います。エプソムCでも苦しい立ち位置は変わりませんが、もしかすると今週末の天気がトーラスジェミニと原騎手を後押ししてくれるかもしれませんよ」(競馬誌ライター)

 東京競馬場周辺の週間天気予報(日本気象協会)を見ると、金曜から日曜にかけて傘マークが並んでいる。特に日曜の午前中は100ミリ近い降雨が予想されており、午後には晴れマークとなっているものの、レースは道悪での開催が見込まれそう。そうなれば、トーラスジェミニにもチャンスはありそうだ。

 思い返せば不良馬場で行われた2年前の当レースを最低18番人気で3着に逃げ粘ったのがトーラスジェミニ。三連単の払戻が421万円を超える大波乱となったことは記憶に新しい。

 また、重賞初制覇を飾った昨年の七夕賞も稍重発表だったが、重に近い馬場状態。さらに昨年3月に原騎手を背に制した東風S(L)は、重馬場での逃げ切り勝ちだった。今回もトーラスジェミニ向きの極悪馬場になれば、大駆けがあっても不思議はないだろう。

 これが重賞で9回目の騎乗となる原騎手。デビューした年(2020年)の8月にはスピード移籍でも話題を振りまいたことがある。

 デビューから半年たらずで前所属厩舎と疎遠になった理由には、成績がなかなか上がらなかったことに加え、2度の遅刻も原因だったとされている。

 そんな当時のルーキー騎手に救いの手を差し伸べたのが小桧山師だった。移籍後は騎乗機会も安定し、2年目の昨年は1年目の3勝を大きく上回る16勝をマーク。3年目の今年はここまで6勝を挙げている。

 窮地を救ってくれた恩師との師弟愛を結実させるためにも、そしてトーラスジェミニとともにG1の舞台に歩を進めるためにも、この舞台でマジックを1つ減らしたい。

(文=中川大河)

<著者プロフィール>
 競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。

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