JRA宝塚記念(G1)逃げ「当確」パンサラッサが激流を演出…タイトルホルダーも苦戦濃厚、混戦必至の展開で「漁夫の利」を得られるタイプは?

 6月下旬に入り、東西金杯から始まった2022年の競馬も折り返し。年を重ねる度に月日の流れの早さに驚かされる毎日だが、7月から本格的に始まる夏競馬の前に上半期の総決算である宝塚記念(G1)の開催が控えている。

 トップクラスの馬が回避するケースも珍しくない春のグランプリだが、今年は例年に比べて豪華なメンバーが集まった。ハイレベルといわれる3歳世代の出走こそないが、タイトルホルダー、エフフォーリアなどG1馬5頭がスタンバイ。いずれ劣らぬ実力馬たちによるドリームレースは、見応え十分の好勝負が期待できそうだ。

 その一方、フルゲート濃厚な今年の宝塚記念で過酷なハナ争いを予感しているファンは少なくないはずだ。

 なぜならこれまでの5勝すべてを「逃げ」て手に入れているタイトルホルダーと「溜め逃げをしない」スタイルを確立させて本格化を遂げたパンサラッサの激突が避けられないからである。

 2頭はどちらも1コーナーから最終コーナーまで先頭で走ったときにこそ本領を発揮するタイプ。ハナを譲った時点でこの勝利の法則が成立しなくなるため、マイペースの逃げが勝利へのカギとなる。

 両馬の直接対決は昨年暮れの有馬記念(G1)でも実現している。このときはハナを奪ったパンサラッサは13着、2番手に控えたタイトルホルダーも直線で力尽きて5着に敗れている。両雄並び立たずとはまさにこのことかもしれない。

 そして、今回の宝塚記念でもおそらくパンサラッサがハナを奪う展開が予想される。行き切ることで活路を見いだすタイプのパンサラッサに対し、タイトルホルダーは道中で溜めを作る緩急自在型。鞍上の横山和生騎手も共倒れのリスクを覚悟してまで逃げにこだわることはしないだろう。

 ただ、2頭の隊列が比較的すんなり決まったとしても、前々で競馬をしたいステイフーリッシュやアフリカンゴールドなどもいるため、前半からかなりの消耗戦となる可能性が非常に高い。

 そういったことも踏まえ、多少気が早いのは承知の上で、レース展開のシミュレーションをしてみたい。

混戦必至の展開で「漁夫の利」を得られるタイプは?

 先述の通り、出遅れなどのアクシデントがなければハナに立つのはおそらくパンサラッサでタイトルホルダーが2番手につける展開は有馬記念とほぼ同じと見る。1000m通過のラップも60秒を切るくらいか。ちなみに大阪杯(G1)のジャックドールは58秒8。距離が1ハロン延びることを考慮すればほぼ同じイメージでいいだろう。

 とはいえ、好位から抜け出したポタジェが金星を挙げ、3番手で粘り込んだレイパパレが2着に入った今年の大阪杯のレベルに少々疑問が残ったことも確か。見た目のラップに反して実質は前残りの決着。どちらかというと、見応え十分の好レースというより、本来の実力を発揮できなかったエフフォーリアが負けたレースという見立てだ。

 パンサラッサとタイトルホルダーが演出する激流の中で好位から抜け出しを狙うのは至難の業だ。追いかけたら脚の溜まらない消耗戦となる場合、かなりのスタミナを要求されることになる。

 早めに動き過ぎるとゴール前で脚がなくなる可能性もあるが、上位人気馬に騎乗する騎手はどうしても勝ち負けを意識してしまうため、いつもより早めに前の馬を捕まえに行くとかえって危ない。

 こういった展開で漁夫の利を得やすいのは、着拾いに徹することのできるタイプか。「そのまま」と声が出るゴール前でノーマークの馬が2着3着に割り込んで落胆させられたことは、競馬ファンなら誰もが一度は経験しているだろう。

 詳細までは文字数の関係で書き切れないのだが、3連複や3連単の穴馬に期待できそうなのは、一見レースに参加していないような位置で競馬が出来るタイプにこそ、馬券的な妙味がありそうな気がしてならない。

 これはあくまで個人の感想に過ぎないため明確な根拠はないものの、宝塚記念の予想の参考にしていただけると幸いだ。

(文=黒井零)

<著者プロフィール>
 1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。

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