JRA宝塚記念(G1)ディープボンド、武豊アリーヴォに朗報!? 春のグランプリ「最大の特徴」にこそ勝機あり…足りない馬が足りた歴史にヒント
26日に阪神競馬場で開催される宝塚記念(G1)。大きな盛り上がりを見せているが、春の激戦から少し空いた6月下旬の開催や梅雨の影響を受けやすい馬場を嫌がる有力馬の陣営も少なくない。
それだけに少頭数のフルゲート割れとなることも珍しくないのだが、5頭のG1馬が揃った今年はハイレベルの熱戦に期待できそうだ。
予想をする上でもG1勝ち実績のある馬に注目するファンも多いだろうが、上半期を締めくくる春のドリームレースには大きな特徴があることも見逃せない。
それはこのレースで初のG1タイトルを手にした馬が過去に多数存在しているという事実である。
春のグランプリ「最大の特徴」にこそ勝機あり
なぜこのような傾向になるかというと先述した通り、年度代表馬決定戦的な意味合いも強い有馬記念(G1)に対し、メンバーが手薄になりやすいことだろう。阪神競馬場の内回り芝2200mという条件も力通りに決まらない一因ではないだろうか。
そしてスピードの出る軽い馬場で切れを生かせる東京に比べて、芝の傷みが進んでスピードよりもパワーを求められる阪神の馬場を嫌う陣営もいる。こういった状況が、それまで勝てそうで勝てなかった馬たちの背中を後押ししているのかもしれない。
競馬界のレジェンド武豊騎手とのコンビで名を馳せた稀代の快速馬サイレンススズカにしても、最強馬の1頭という声がある一方でG1勝ちは1998年の宝塚記念のみ。マーベラスサンデーもまた生涯唯一のG1勝ちが97年の宝塚記念だった。
こういったケースはそれ以外にも複数ある。近年の勝ち馬の顔触れでも11年アーネストリーや15年ラブリーデイ、18年のミッキーロケットなどが勝利を収めている。直接対決でテイエムオペラオーに敵わなかったメイショウドトウが、ライバルを倒して唯一勝てたG1も宝塚記念だ。
1990年代から昨年まで32年の間に13頭が悲願を達成しており、それも確率にして約4割というハイアベレージで勝利しているのだからさすがに軽視できない。
各馬の共通点は4~6歳の牡馬、そして前走で4着以内に好走をしている点だ。
今年出走を予定しているメンバーでこれに合致するのはアリーヴォ、オーソリティ、グロリアムンディ、ディープボンド、ヒートオンビート、ヒシイグアスの6頭。ダートから転戦してきたグロリアムンディ、9番人気メジロパーマーが最低人気だったことを考えるとヒートオンビートも微妙なところ。この2頭は省いても差し支えはなさそう。
これで候補は4頭まで絞ることに成功した。数あるG1の中でもニューヒーローの生まれやすいレースだけにあえて狙ってみる価値はあるはず。
勝利の栄光を掴むのは実力を見せつけるG1馬か、それとも宝塚記念の特徴を味方に悲願を達成する馬だろうか。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。