宝塚記念(G1)元JRA藤田伸二氏、田原成貴氏が揃って「大失敗」を指摘!? エフフォーリア陣営の迷走、元騎手だからこそ「疑問視」した違和感
終わってみればタイトルホルダーの完勝で幕を閉じた今年の宝塚記念(G1)。JRA通算1918勝を挙げた元騎手の藤田伸二氏が自身のYouTube「藤田伸二チャンネル」でレースを回顧した。
月曜夜に行われた生配信で、藤田氏が絶賛したのはやはりタイトルホルダーと鞍上を務めた横山和生騎手だった。
冒頭で「とにかく強かったね」と勝者を称えた藤田氏。「非の打ちどころのないレースだった。一番すごいなと思ったのは、逃げてしか勝ったことない馬が、好位(番手)からあっさり抜け出して勝った(こと)」と新味を発揮しての勝利には感心するしかなかったようだ。
さらに、同馬の馬場適性も含めて「(凱旋門賞へ)いい予行練習になったんじゃないかな」と、日本競馬界の悲願に向けてタイトルホルダーにチャンスありという見解を示した。
一方で、和生騎手の弟・横山武史騎手が騎乗したエフフォーリアに話題が移ると、一転して辛口モードに。「1番人気がエフフォーリアっていうのが一番疑問で……」と切り出すと、「俺は最初からエフフォーリアを切っていた」と、昨年の年度代表馬を軽視していたことを明かした。
元騎手だからこそ「疑問視」した違和感
その理由として挙げたのは初めて装着したブリンカーの効果についてだ。騎手時代の経験も踏まえて、「競馬(レース)でいきなり(ブリンカーを)着けるんだったら、効力はあったと思うんだけど、調教段階で着けていたんで……」と、陣営が“秘密兵器”を投入したタイミングに疑問を呈した。
「あくまでも藤田氏の持論ですが、エフフォーリアほどの馬なら学習能力も高いため、一度調教で(ブリンカーを)着けてしまうと、レースではその効果が薄れてしまうということが言いたかったのだと思います。
3コーナーあたりでエフフォーリアの手応えが悪くなったのも、『ブリンカーが仇になって、余計周りの馬を気にしていた』と、ブリンカーは逆効果だったという結論を導き出していました」(競馬誌ライター)
実は藤田氏以外にもエフフォーリアのブリンカー装着に疑問を投げかけていた人物がいた。
それが、元騎手の田原成貴氏だ。年齢はひと回り以上違うが、藤田氏と田原氏は現役時代をともに過ごしたライバルであり同志。そんな田原氏はレース前日に公開された『東京スポーツ』のYouTube「東スポレースチャンネル」に出演していた。詳細については本動画をご覧いただきたいのだが、動画内でエフフォーリアのブリンカー装着について言及する場面もあった。
「最初に着けたときは効くんですよね。ただ、去年の年度代表馬がここに来て着けなきゃいけないか……」と首をひねった田原氏は、「苦肉の策だなと思います」と、ブリンカーを着けざるを得なくなってしまった状況に不安を隠さなかった。
「合わせて(JRAで)3000勝以上している名手2人の意見が図らずとも一致しました。スポーツ紙などでは『ブリンカー効果絶大』などの文字が躍っていましたが、むしろ不安材料だったというわけですね」(同)
“ブリンカー効果”もあって、エフフォーリアを軽視できたという藤田氏。「エフフォーリアが1番人気になった時点で馬券はちょっとおいしいな(と思った)」と、馬券妙味に言及していたものの、藤田氏の本命はディープボンドだったため、“予想”は外していたという。
ところが、競走除外になったオーソリティが話題に上った際、藤田氏から意外な発言が飛び出した。
「馬券の買い方を間違ったのか、全て払い戻し(返還)になっていて……。宝塚記念は馬券を買ってないことになっていました」とまさかの告白。“予想”は外したものの、レース後の財布の重さは変わらなかったようだ。
詳細についてはそれぞれの動画をご覧いただきたいのだが、現役時代に名手として知られたプロフェッショナルな目線は、競馬ファンにとっても非常に興味深い内容だ。勉強になることも盛り沢山。元騎手2人の動画は今後も必見だ。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。