JRA武豊×蛯名正義「同期タッグ」が北の大地でOP初挑戦! 騎乗するのは縁ある「女帝」の孫。重賞初挑戦へ繋がる勝利にかかる期待
春G1の総決算ともいえるグランプリ・宝塚記念(G1)も終了し、今週からはいよいよ夏競馬が本格化。舞台はローカルへと移り、開催初週となる福島・小倉の両場では日曜日にそれぞれラジオNIKKEI賞(G3)、CBC賞(G3)といった重賞競走が行われる。
一方で一足早く先月の11日から夏競馬の盛り上がりを見せているのが北海道・函館競馬場だ。今週末は重賞こそないが、日曜にはメインレースとして巴賞(OP)が行われる。古馬混合・1800mという条件から、今後続々と行われるサマー2000シリーズへ向けて飛躍を期す馬が集まる注目の1戦である。
そこに出走する馬の中で、今回フォーカスしたいのがランフォザローゼス(騙6歳、美浦・蛯名正義厩舎)だ。
ランフォザローゼスは父・キングカメハメハ、母系はダイナカール、エアグルーヴと続き活躍馬を多数輩出してきた日本競馬でも随一の名牝系。超がつくほどの良血馬であり、2017年のセレクトセールにおいて1億3500万円(税込み)で取引されたこともあってデビュー以前から期待を集める1頭だった。
その期待に応えるように新馬戦で勝利を飾ると、3歳時には京成杯(G3)、青葉賞(G2)で2着に好走して賞金加算に成功。日本ダービー(G1)でも7着とまずまずの走りを見せた。
しかし、その後は思うように成績を伸ばすことができず。今年2月のダイヤモンドS(G3)で2着に好走し3歳時以来に馬券内に食い込んだものの、未だに勝ち鞍は新馬戦の1勝のみに留まっている。
武豊×蛯名正義「同期タッグ」が北の大地でOP初挑戦!
近2走はG2レースに挑んでいるものの共に2桁着順の大敗。今回は巻き返しを図りOPから出直しとなるが、この戦績では当然ながら伏兵評価の一角となっている。それでも熱心な競馬ファンならば期待を抱かずにはいられない理由が、ランフォザローゼスには存在する。それこそが武豊騎手が騎乗する点である。
ランフォザローゼスを管理する蛯名正師と武豊騎手は、競馬学校時代からの同期という間柄。2人はデビュー後も互いに競い合いながら、東西のトップジョッキーとして長年に渡って競馬界を盛り上げてきた。
昨年2月に惜しまれつつ騎手を引退した蛯名正師は、今年3月に厩舎を開業。早くも5月には管理馬に武豊騎手が騎乗し「同期タッグ」での勝利を達成。条件戦にも関わらず武豊騎手がガッツポーズし喜びを爆発させた。これにはスタンドからも大きな歓声が巻き起こり、メディアでも大きく取り上げられた。
今回はその「同期タッグ」で挑む初めてのOPレース。巴賞は函館記念(G3)や札幌記念(G2)といった夏の北海道開催の中距離重賞に繋がるステップレースでもあり、ここでランフォザローゼスが好走すれば「同期タッグ」での待望の重賞初挑戦も視野に入るはずだ。
ランフォザローゼスは一昨年に函館記念に出走し16頭立ての6着、3着とは0.1秒差と惜しい結果、更にこの時の鞍上は今回同様に武豊騎手であった。洋芝や滞在競馬への条件替わりによって好転があれば、名手のエスコートでの一発がないとは言い切れない。
また、ランフォザローゼスの母母にあたる名牝・エアグルーヴの主戦を務めていたのは他でもない武豊騎手。エアグルーヴは武豊騎手を背に札幌記念の連覇を達成しており、北の大地でその孫に騎乗するという点も巡り合わせを感じる。
武豊騎手にとっては縁深い師の管理する、縁深い血統背景を持つ馬への騎乗。ここを好走して函館記念や札幌記念へと駒を進めることとなれば、当地のファンも大いに盛り上がることだろう。
今回のレースでは相手も粒ぞろいであり、いま一つの評価に留まっているランフォザローゼス。それでもファンとしては、「同期タッグ」での重賞挑戦に繋がる勝利を期待したいところ。レジェンドの見事な手綱さばきによる“一発逆転”でのドラマティックな展開で、函館のファンを沸かせてもらいたい。
(文=エビせんべい佐藤)
<著者プロフィール>
98年生まれの現役大学院生。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。幸か不幸か、進学先の近くに競馬場があり、勉強そっちのけで競馬に没頭。当然のごとく留年した。現在は心を入れ替え、勉強も競馬も全力投球。いつの日か馬を買うのが夢。