JRA松山弘平「順調に上まで行って欲しい」ドウデュース追い詰めた実力証明、復活した大物が「7馬身差」レコードで菊候補に名乗り!
グランプリ・宝塚記念(G1)が終わり、7月から開幕の夏競馬もまだ始まったばかりだが、早くも充実の秋を予感させる大器の登場だ。
3日の小倉開催はテイエムスパーダでCBC賞(G3)を制した新人女性騎手・今村聖奈騎手の話題で一色となったが、ラスト一冠の菊花賞(G1)を目指すクラシック候補の復活勝利にも注目したい。
それは9Rの国東特別(1勝クラス・芝2000m)で大楽勝を飾ったガイアフォース(牡3、栗東・杉山晴紀厩舎)のことである。
「7馬身差」レコードで菊候補に名乗り!
10頭立てのレースで単勝オッズ1.4倍の断然人気に推された大本命は、鞍上の松山弘平騎手が押さえるのに苦労するほどの行きっぷりの良さ。4コーナーで早々に先頭に立つと、脚色が衰えることなく後続馬を突き放してしまった。
2着馬につけた着差はなんと7馬身。1分56秒8(良)の勝ちタイムは、従来のコースレコードを0秒1更新するものだった。
「非常に能力の高い馬でレコードですし、強く楽しみな馬です。順調に上まで行って欲しいです」
圧勝劇を振り返った松山騎手も十分な手応えを掴んだことだろう。ガイアフォースを管理する杉山晴紀調教師も「無事なら最後のクラシックも、候補に挙がってくるでしょう」と自信ありげ。まだ1勝クラスを勝利しただけではあるが、10月23日の菊花賞(G1)を意識しているようだ。
「昨年9月の小倉でデビューして、ドウデュースをクビ差まで追い詰めた実力の持ち主ですから陣営が期待するのも当然でしょう。このとき3馬身離された3着馬がラジオNIKKEI賞(G3)を制したフェーングロッテン。ガイアフォースも重賞級の力を持っているはずです。
新馬戦の後に膝を骨折したため、春のクラシック参戦は叶いませんでしたが、父キタサンブラックとの親子制覇も懸かります。まだ気性面に幼いところもあり、成長途上ですからさらに良くなってくると思います」(競馬記者)
メインのCBC賞で1分05秒8が出たように、開幕週の小倉が高速馬場だったことは確かですが、勝ちタイムよりも2着馬との着差を評価したい。
2年前にデアリングタクトとのコンビで無敗の牝馬三冠を達成した松山騎手だが、牡馬のクラシックは2017年にアルアインで制した皐月賞(G1)のみ。ラスト一冠に向けて力も入るだろう。
遅れて来た大器の復活勝利は、秋のクラシックを大いに盛り上げてくれるに違いない。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。