JRA福永祐一が「すぐに勝てる」と評した相手に大楽勝、新種牡馬グレーターロンドン産駒が圧巻デビュー…「追い通し」サバイバル制した実力にG1獲りの期待

松山弘平騎手

 短距離路線にまた楽しみな馬が1頭登場した。

新種牡馬グレーターロンドン産駒が圧巻デビュー

 3日、小倉競馬場で行われた6Rの2歳新馬を3番人気で制したロンドンプラン(牡2、栗東・宮本博厩舎)は、新種牡馬グレーターロンドンが父。産駒として最初のデビューとなったが、2着馬に2馬身差をつける危なげのない走りで初陣を飾った。

「相手を見ながら良い形で競馬ができました。少し忙しい感じはありましたが、最後まで脚を使っていい走りをしてくれました」

 レースをそう振り返った松山弘平騎手もデビュー戦の走りを高評価。芝1200mを使われたが、このコメントならマイルくらいまでは融通が利きそうな雰囲気だ。

 ジャスパーティアラが四肢挫創のため出走取消した関係でレースは8頭立て。抜群のスタートを決めたロンドンプランを内からパラシュラーマ、タムロショウリューが交わして3番手からの追走となる。

 2歳馬の芝1200mとあって各馬の騎手が追い続けた結果、前半3Fの通過も33秒7と厳しいラップが続いた。松山騎手とロンドンプランのコンビも手綱を緩めることなく前の2頭を追い掛け、最後の直線でようやく先頭で粘るパラシュラーマをパス。後は余裕を持って先頭でゴール板を駆け抜けた。

 勝ちタイムは1分8秒2の好時計(良)。自身の上がり3Fも34秒4でまとめたなら上々の勝ち上がりといえるだろう。

「松山騎手もスタートしてからずっと追い通しでした。レース後のコメントからも伝わるように、スプリンターではない感じですね。むしろ適距離とはいえない条件でハイペースの競馬を楽勝したことを評価したいところです。

この日メインのCBC賞(G3)でレコードが更新されたように、開幕週の小倉は超がつくほどの高速馬場。それでも息を入れる余裕もないレース展開で好走したことは大きいです。ゲートセンスもありますし、朝日杯FS(G1)に出てくるようなら面白そうですよ」(競馬記者)

福永祐一騎手 撮影:Ruriko.I

 レースレベルについてもある程度の期待も持てそうだ。実際、2着に敗れたパラシュラーマに対し、騎乗していた福永祐一騎手は「すぐに勝てると思います」とコメント。負かした馬の騎手が手応えを掴んだということは、相対的にロンドンプランの強さが証明されることになるはず。次走でも注目の1頭となるだろう。

 父グレーターロンドンはディープインパクトの産駒。重賞勝ちこそ中京記念(G3)の1勝だが、2017年には5連勝で安田記念(G1)に挑んで4着に入った実力馬だ。父を産んだ祖母のロンドンブリッジも1998年の桜花賞(G1)でファレノプシスの2着に好走しており、繁殖牝馬としても2004年のオークス馬ダイワエルシエーロを送り出した。

 最強馬論争の1頭に名の挙がるディープインパクトは2019年にこの世を去った。ラストクロップとなる今年の2歳馬は少なく、後継種牡馬の争いも避けられそうにない。ポストディープインパクトとして評価されるためにも、ロンドンプランのデビュー勝ちは頼もしい限りだ。

(文=高城陽)

<著者プロフィール>
 大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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