オメガパフューム陣営に「内乱勃発」の火種
昨年末の東京大賞典(G1)で4連覇を果たし、先日の帝王賞(G1)でも3着に好走したオメガパフューム(牡7歳、栗東・安田翔伍厩舎)。7歳を迎えてもなお存在感を放っているが、「主戦M.デムーロ騎手とコンビ解消か?」とネットがざわつく事態になっている。
事の発端は先週24日の小倉9R・雲仙特別(2勝クラス、芝1200m)での出来事だ。
4角でデムーロ騎手が騎乗するブレスレスリー(牝3歳、栗東・藤岡健一厩舎)が外側に斜行。岩田望来騎手が騎乗するアルトシュタット(牡3歳、栗東・安田翔伍厩舎)と接触した影響で岩田望騎手が大きくバランスを崩してしまった。この件についてデムーロ騎手には過怠金10万円が科さられている。
陣営に「内乱勃発」の火種
「降着どころか審議にすらなりませんでしたが、少々強引なコース取りだったと思います。岩田望騎手が譲らなかった関係もありそうですが、デムーロ騎手からすれば勝負所で進路を確保しておきたいタイミング。あそこで引いたら前がふさがる状況だっただけに、背に腹は代えられぬということでしょう。パトロール映像を確認すると2度、3度とタックルしたように映りました。
普通の馬ならあれだけ激しくぶつけられたら戦意を喪失してもおかしくないところですが、アルトシュタットは直線でもしぶとく伸びて、掲示板(5着)を確保。岩田望騎手は『4コーナーで接触があったことが痛かったですね。それまではとても良い雰囲気でした』と話していたように、接触がなければ馬券圏内も狙えそうな走りでした」(競馬誌ライター)
当然、岩田望騎手もデムーロ騎手のラフプレーには思うところがあったはずだが、コメントを見る限り、大人の対応でサラリと流したようだ。
一方で、この事象にTwitterで反応したのがアルトシュタットを管理する安田翔師だった。
レース後、安田翔師は自身のTwitterを更新。「¥100000」という文字に加え、怒りを表す絵文字3つと手を振るサヨナラの絵文字をつけてツイートした。
「『¥100000』というのはデムーロ騎手が科された過怠金の額のことでしょう。あれだけのラフプレーにもかかわらず10万円で済んだのかという気持ちがあったのかもしれません。このツイートには多くのファンが反応し、一部のファンからはデムーロ騎手を批判する声も出ていました。ただ、反響が想定以上だったためか、その後当該ツイートは削除されています」(同)
以前からSNSを活用して積極的に厩舎の情報を発信している安田翔師。2年前には北村友一騎手がオメガパフュームに騎乗し、勝利した際、「机」というハッシュタグをつけてツイートするなど、ユーモアな面も見せている。
管理馬に対する被害でもあり、安田翔師の怒りはもっともな話だろう。相手が厩舎の看板馬オメガパフュームの主戦を任せているデムーロ騎手だったことも「昨日の敵は今日の友」といったところか。
東京大賞典5連覇を大目標に、秋は11月のJBCクラシック(G1)、もしくはみやこS(G3)からの始動を予定しているオメガパフューム。今回の一件が、両者の間に禍根を残すことにならなければいいのだが……。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。