武豊vs横山典弘「伝説の未勝利戦」はディープインパクトが勝った神戸新聞杯デー!?

 競馬ファンなら誰もが聞いたことがあろう「伝説の新馬戦」というフレーズ。

 その代表例として、2008年の菊花賞デーに行われた新馬戦はあまりにも有名である。このときは皐月賞馬アンライバルド、ダービー2着のリーチザクラウン、牝馬2冠のブエナビスタ、菊花賞馬スリーロールスが激突。後のG1戦線で主役級の活躍をした馬が顔を揃えていたことで話題となった。

 さらに昨年でいえば、皐月賞(G1)と日本ダービー(G1)でいずれも2着したイクイノックスと阪神JF(G1)を勝ったサークルオブライフが激突したレースが「伝説の新馬戦」としてファンの間で話題に上がった。

 ところで「伝説の新馬戦」があるくらいなら、「伝説の未勝利戦」もあるのではないか……。のちのG1馬もしくはG1好走馬が激突した未勝利戦といえば、競馬ファンの多くはどのレースを思い浮かべるだろうか。

武豊vs横山典弘「伝説の未勝利戦」

 筆者が挙げるとするならば、フサイチリシャールドリームパスポートがぶつかった未勝利戦だ。

 勝ったフサイチリシャールは、続く萩S(OP)で再びドリームパスポート、のちのNHKマイルC(G1)覇者ロジックや2冠馬メイショウサムソンらを破り連勝。さらに立て続けに当時まだG3だった東京スポーツ杯2歳S(G2)でも、メイショウサムソンを退けレコード勝ちを収める。勢いそのままに、未勝利勝ちから4連勝で朝日杯フューチュリティS(G1)を制覇し、G1馬へと登り詰めた。

 一方、敗れたドリームパスポートも次戦で2着に4馬身差をつけて完勝すると、萩Sと京都2歳S(OP)でいずれも2着。翌年にはきさらぎ賞(G3)を勝ってスプリングS(G2)で3着すると、皐月賞2着、日本ダービー3着、菊花賞2着とクラシックで大活躍。3歳ながら挑戦したジャパンC(G1)では、歴史的名馬ディープインパクトの2着に好走した。

 そんなのちに大物となる2頭であるが、どちらも新馬戦は黒星スタート。デビュー2戦目の未勝利戦であいまみえることになったのだ。当日はディープインパクトが勝った神戸新聞杯デーでもあった。

 フサイチリシャールといえば、主戦だった福永祐一騎手のイメージが強いが、当時の鞍上は武豊騎手。ドリームパスポートは度々騎手が入れ替わっていたものの、この時はのちに菊花賞2着へ導いた横山典弘騎手が手綱を取っていた。

 好スタートから逃げたフサイチリシャールと、スタートで立ち遅れて後方から追ったドリームパスポートが最後の直線で追い比べとなった一戦。最後は半馬身差をつけたフサイチリシャールに軍配があがったものの、その後の2頭の活躍をみると「伝説の未勝利戦」といっても良いのではないか。

 ここ20年を振り返っても、牡馬であればディープインパクト、オルフェーヴル、キタサンブラック、牝馬ならウオッカ、グランアレグリア、デアリングタクトなど時代を彩った名馬たちの多くは新馬戦で勝利している。そういった背景もあって、どうしても未勝利戦より新馬戦の方がクローズアップされることも多いだろう。

 とはいえ、歴代獲得賞金ランキングで1位のアーモンドアイ、3位のテイエムオペラオー、4位のジェンティルドンナら名馬たちは、いずれもデビュー戦で敗れていたのもまた事実。負けたもの同士が集う未勝利戦といえども、そこには未来のG1ホースが隠れているかもしれない。

ハイキック熊田

ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?

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