【新潟2歳S(G3)展望】2戦合計「21馬身差」笠松の怪物はオグリキャップの再来?
28日、新潟競馬場では新潟2歳S(G3)が行われる。施行距離が新潟外回りの1600mになった2002年以降の過去20頭の勝ち馬を見ると、前走距離別成績に大きな偏りがある。まずはそこからひもといてみよう。
【新潟2歳S前走距離別成績、2002年以降】
~1200m 0-3-4-64
1400m 10-5-5-101
1600m 10-8-8-53
1800m 0-4-3-41
※他に1700mが0-0-0-1
勝ち馬20頭は全て前走1400mもしくは1600mを走っていた馬で、1200m以下からの距離延長組、もしくは距離短縮組は1頭も勝っていないことがわかる。このデータを踏まえた上で、今年の新潟2歳Sを展望していきたい。
まず注目したいのが、前走1400mを走っていたロードディフィート(牡2歳、美浦・和田勇介厩舎)だ。
父は新種牡馬のデクラレーションオブウォーで、6月第1週の東京芝1400mで岩田望来騎手を背にデビュー。その時は7番人気だったが、クラックオブドーンの2着に好走した。そこから中1週で挑んだ同コースの未勝利戦で今度はC.ルメール騎手を背に1番人気に応えて完勝している。
過去2戦はどちらも2番手から競馬を進め、直線で長くいい脚を使っての好走。同じく直線が長い左回りの新潟なら、この経験は大いに生きるだろう。
前走から2か月半ほど空けての一戦となる今回は再び鞍上が変更。手綱を取るのは2015年にロードクエストで当レースを勝利している田辺裕信騎手だ。同じ“ロード”の馬を7年ぶりに新潟2歳王者に導くことはできるか。
ロードディフィートと同じく前走1400mを走ったスタンレー(牡2歳、美浦・小野次郎厩舎)も注目の存在。こちらは2戦2勝の戦績だが、いずれの勝利も地方・笠松のダートで挙げている。
デビューしたのは6月の笠松ダート800m戦だった。スピードの違いでハナを切ると、他馬を寄せ付けず7馬身差の圧勝。ダート1400mが舞台となった続く2戦目は、道中2番手から4角で先頭に立つと最後は2着馬に2秒4差(約14馬身差)をつけて連勝を飾った。
当然、芝は未知数となるが、2戦合計で約21馬身差をつけた能力は注目に値する。かつてオグリキャップを生んだ笠松から久々に大物誕生となるだろうか。
前走1400m組と同じく過去20年で10勝しているのが前走1600m組。ただし、今年は該当馬がゼロの可能性もある。そこで前走1800m組にスポットを当ててみたい。
まずは父が新種牡馬ビーチパトロールというシーウィザード(牡2歳、美浦・鹿戸雄一厩舎)。函館での2歳新馬(芝1800m)を逃げ切り勝ちし、2戦目で重賞に挑戦する。
鞍上は今年重賞5勝の活躍を見せる浜中俊騎手。前走でも手綱を取り、「気が良すぎるほどの馬で、今日はハナに立って道中で息を入れることができたのでラストまで走れました。この距離(1800m)にこだわるのなら、折り合いがカギになる」とコメント。気性的に1ハロンの距離短縮はプラスとなるか。
ただし、スローの瞬発力勝負になりやすい新潟外回りで再度折り合えるかどうかも重要なポイントとなりそうだ。
前走1800mを走っていたアイスグリーン(牡2歳、栗東・池添学厩舎)は、重賞2勝を挙げたディアンドルの半弟という血統馬だ。勝ち名乗りを上げた前走は小倉の芝1800mだったが、デビュー戦は阪神芝1600mだった。その時は5着に敗れているが、貴重なマイル経験を生かせるか。
デクラレーションオブウォー産駒のタマモブラックタイ(牡2歳、栗東・角田晃一厩舎)は、7月の小倉2歳新馬(芝1200m)から2ハロンの距離延長で迎える。
前走は6番人気ながら早め先頭に立って、押し切り勝ちを収めた。鞍上を務めるのは1年目の角田大河騎手。前走は3kg減の特典があったが、今回は重賞なので当然他馬とは同斤量となる。
一気の距離延長がカギとなるが、鞍上はデビュー戦後に「距離は幅を広げていけると思います」と話しており、対応は可能か。
チカポコ(牝2歳、栗東・西園正都厩舎)も前走1200m組の1頭。牝馬の相性は悪くないレースではあるが、初戦の走破時計(1分10秒4)からここでは苦戦必至か。
グラニット(牡2歳、美浦・大和田成厩舎)は、6月の新馬戦(東京芝1600m)で16番人気ながら3着に好走し、三連単300万超えの使者となった。3番人気に支持された2戦目(福島芝1800m)で順当に勝ち上がったが、今回も人気にはならなさそう。再び高配当の使者となれるかに注目したい。
今年は絶対的な存在がおらず混戦模様の新潟2歳S。前走距離データからはロードディフィートが有力にも思えるが、果たしてどうか。発走は28日、15時45分を予定している。