勝利した横山武史ですら疑問!? メジャーエンブレム、ノームコア輩出の出世レースが「まるで未勝利戦」の低レベル説
10日、中山競馬場で行われた9Rのアスター賞(2歳1勝クラス)は、横山武史騎手の2番人気ドンデンガエシ(牡2、美浦・尾関知人厩舎)が優勝。前走の初勝利に続き、昇級初戦で連勝を決めた。
10頭立て芝1600mのレース。スタートを決めたドンデンガエシは、鞍上がハナを主張し先頭へ。過去2戦では見せたことのない逃げの手に打って出た。
ただ、結果的にこれが大正解。
前半3ハロン通過36秒7の超スローペースに落とし込むと、終始楽な手応えのまま最後の直線へ。そのまま後続の追撃を寄せ付けず、2着シルヴァーゴーストに2馬身半差をつける完勝を決めた。
レース後、鞍上は「前走とは違って逃げ切り勝ち。新たな一面を見せてくれました」とデビューからコンビを組む相棒を評価。初めての試みが大きな収穫へと繋がる内容だった。更なる高みへ可能性は広がったと言えよう。
アスター賞といえば、過去の勝ち馬の中には阪神JF(G1)とNHKマイルC(G1)を制したメジャーエンブレムや、ヴィクトリアマイル(G1)と香港カップ(G1)を勝ったノームコアなどがいる競馬ファンの間では知る人ぞ知る出世レースである。
また近年を見ても、昨年の勝ち馬であるプルパレイがファルコンS(G3)を制覇。敗れた馬の中からも七夕賞(G3)を制したトーラスジェミニや、東京新聞杯(G3)を勝ったイルーシヴパンサーら重賞勝ち馬を輩出するなど活躍馬が続々と誕生している。
そういった背景から、今年も将来の大物候補が隠れている可能性は十分ありそうだが、メンバーレベルや時計面を見返すと少々疑問が残る。
レースレベルに疑問も……
出走馬10頭の内、勝ち上がっていたのはドンデンガエシ、シルヴァーゴースト、ラパンラピッドのわずか3頭のみ。1勝クラスでありながら、地方馬のシテイタイケツを除けば他は全て未勝利馬だったのだからメンバー的に「低レベル」感は否めないだろう。
レース後には勝ったドンデンガエシの横山武騎手も「メンバーにも恵まれた」とコメントしていた通り、内容は完勝だったとはいえ勝利の価値はそう高くないかもしれない。
また時計面に関しても同様のことが言える。ドンデンガエシの勝ち時計は1分35秒8だったが、これは同日に行われた2Rの2歳未勝利を勝利したサンティーテソーロの1分34秒3より1.5秒も遅いタイム。ペースが違うとはいえ、あまりにも差がある。
これらの面を考えても、勝ったドンデンガエシをはじめ他の出走メンバーの評価は上げ辛い。多くの重賞級を輩出したアスター賞だが、今年は過信禁物かもしれない。