JRA武豊、福永祐一、川田将雅もお手上げ…アドマイヤの忘れ形見に悪夢再び、「出オチ」の5億円馬がクラシック絶望の危機

 今週末は19日が敬老の日ということもあって土日月の3日間開催。先週土曜には中山で紫苑S(G3)が行われたように、秋のG1で戴冠を目指す3歳世代のトライアルレースが始まった。

 18日の中京は秋華賞トライアルのローズS(G2)、中山では菊花賞トライアルのセントライト記念(G2)も開催される。ラスト一冠に望みを懸ける重要な一戦だけに、出走各馬の陣営も力が入るだろう。

 大きな期待を背負ってデビュー勝ちを飾った馬もいれば、下馬評こそ高くなかったなか、実力で評価を覆した馬もいた春のクラシック戦線。トップクラスの馬が海外遠征や距離適性を理由とした参戦の見送りや、脚元の負傷で順調さを欠く秋のニュースター登場を望む声も多い。

 ファンの多くが関心を寄せるトライアルレースが行われる一方で、正念場の秋を迎えようとしている馬もいる。その代表格ともいえる1頭が、19日の中京9R金山特別(1勝クラス・芝2200m)に登録のあるリアド(牡3、栗東・友道康夫厩舎)である。

「出オチ」の5億円馬がクラシック絶望の危機

 同馬は2019年のセレクトセール当歳馬セッションで5億760万円(税込)にて落札された超高額馬だ。アドマイヤ軍団で知られる故・近藤利一さんの所有馬ではあったが、オーナーがなくなったことにより、後に大塚亮一氏へと名義が変更されている。

 当然ながら、ディープインパクトに3頭の重賞勝ち馬を輩出したタイタンクイーンを配合した良血を、デビュー前から大物候補と評する声も多かった。

 5億円馬の初陣として注目を集めた、昨年10月の2歳新馬の芝1800m戦を2着に3馬身差の圧勝を決めたこともあり、その実力が本物であれば今ごろは世代の中心を担う存在となっていたはずだ。

 ところが、初戦で手綱を取った福永祐一騎手から武豊騎手へと乗り替わった2戦目の若駒S(L)を2着に敗れると、福永騎手が再登板した毎日杯(G3)でも5着。続く京都新聞杯(G2)で川田将雅騎手が騎乗したものの、7着に敗れた。

 鳴り物入りでデビューした期待馬は、競馬界を代表する3人の名手を以てしても2勝目を挙げられず、ついには皐月賞(G1)も日本ダービー(G1)にも出走することなく、不本意な春を過ごしてしまった。

 再起を懸けた8月の湯沢特別(1勝クラス)でも断然人気を裏切って2着に敗れ、未だに自己条件の壁すらクリアできない現状には、一部のファンから「期待ハズレ」「出オチ」の声も囁かれ始めた。

「ファンの期待が大きかった馬ですからガッカリ感もありますね。若手や中堅騎手での取りこぼしであれば、鞍上強化に期待できるのですが、ここまでの手綱はみんなトップジョッキーでした。さすがに実力不足を認めざるを得ません。

また、芝2200mに登録していることもあまり歓迎できないです。兄姉の適性距離を考えると、延長するより短いところがよさそうな気もします。上のミラアイトーンやギルデッドミラーが古馬になっても活躍しているので成長力はありそうですよ」(競馬記者)

 振り返れば、6億円馬として注目された近藤オーナーの忘れ形見アドマイヤビルゴも、クラシック三冠に一度も出走することなく、未だに重賞勝ちもない。

 落札額と実力が必ずしも比例しないことは珍しくないこととはいえ、アドマイヤと縁のある期待馬が事実上、菊花賞不参加の現実は残念だ。秋の再浮上を狙うアドマイヤビルゴとリアドの巻き返しに期待したい。

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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