C.ルメールの「大本命」撃破に名牝誕生の予感!? 落馬負傷で女傑クロノジェネシスと惜別から約1年4か月「元主戦」に舞い込んだ希望の光

北村友一騎手 撮影:Ruriko.I

 昨年末、有馬記念(G1)3着を最後に引退したクロノジェネシス。グランプリレース3連覇を成し遂げるなど、我々競馬ファンに多くの「夢」を与えた紛れもない女傑だ。

 そんなクロノジェネシスの主戦を務めていたのが、当時充実一途だった北村友一騎手である。同馬のデビュー戦から手綱を取り続け、コンビでG1を3勝。これまでのキャリアを振り返っても、同騎手にとっては過去最強のパートナーだったに違いない。

 ところが昨年5月、連覇が懸かるクロノジェネシスとの宝塚記念(G1)を翌月に控えていた矢先、自身が落馬事故により負傷。背骨が8本も折れ、復帰まで1年以上を要す大怪我に見舞われた。

「ああ、これでもうクロノジェネシスに乗れない」

 昨年10月、負傷した当時のことを『Number Web』(文藝春秋)のインタビューにてそう語っていた北村友騎手。同馬を所有するサンデーレーシングのクラブ規定により、牝馬は6歳3月までに引退することが決まっているため、この時すでに5歳だったクロノジェネシスとのコンビは、この怪我の時点で実現不可を意味していた。

 その後、同馬の代役はC.ルメール騎手が務め宝塚記念を勝利。北村友騎手には、どこかもどかしい複雑な思いがあっただろう。そして、クロノジェネシスは昨年の有馬記念で引退。ついに最愛のパートナーと離れることとなった。

 あれから月日が経った今年6月、北村友騎手は落馬負傷からおよそ1年ぶりに復帰。クロノジェネシスとの全盛期を知るファンからすれば、待ちに待った瞬間だっただろう。

 とはいえ復帰から3カ月が経過したものの、まだ7勝(24日終了時)とエンジン全開といった印象はない。重賞でも勝ち星はなく、負傷前と比べ影を潜めている。

 そんな北村友騎手に、復活を告げる希望の光が現れたかもしれない。それが、25日に2歳新馬を勝利したバロッサヴァレー(牝2、栗東・高野友和厩舎)である。

 同馬は、大阪杯(G1)やジャパンC(G1)を制したスワーヴリチャードの全妹。血統的な魅力は勿論だが、レース後に北村友騎手は「能力は秘めている」と確かな手応えを感じている。

「大本命」撃破に名牝誕生の予感!?

 戦前はルメール騎手のシルヴァーアーマーが単勝1.9倍の断然人気で、バロッサヴァレーは3番人気という評価。それでも最後の直線では、先に抜け出しを図ろうとしたシルヴァーアーマーの外から馬体を併せ、そのまま長い追い比べに持ち込み最後は捻じ伏せた。

「3着以下には5馬身つけていたことからも、ここでは2頭の力が抜けていましたね。断然人気のシルヴァーアーマーは、デビュー前から調教で好時計を連発していて評価が高かった馬です。そんな相手を競り落としての完勝ですから、バロッサヴァレーの今後も非常に期待できそうですよ」(競馬誌ライター)

「いい精神状態を維持しながら成長していってくれたらと思います」

 レース後、デビュー勝ちを決めたバロッサヴァレーにそう期待を寄せていた北村友騎手。復活を告げるクロノジェネシス以来のG1勝利をもたらすのは、この馬なのかもしれない。

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