「青色吐息」ジャパンCに超大物が続々名乗り…ファンの望む国際レースが久々実現?
史上最多4頭の日本馬が出走した今年の凱旋門賞(仏G1)だが、直前の大雨の影響もあってか昨年に続いて泥んこ馬場で開催された。
日本の重馬場とは異なるタフさを求められる状況に、タイトルホルダーはじめドウデュース、ディープボンド、ステイフーリッシュらが悉く轟沈。怪レコードを連発する日本の高速馬場と欧州の馬場との違いも浮き彫りとなった。
「馬場適性」が大きくものをいう凱旋門賞の舞台だが、これまでまったく勝算がなかった訳でもない。
エルコンドルパサーやナカヤマフェスタ、オルフェーヴルが勝ち負けを演じた年は、いずれも重や不良での開催だったことを考えると、単純に力負けだったのか、馬場が向かなかっただけなのかは、はっきりと分からない。いずれにしても、凱旋門賞を優勝するという日本競馬の悲願に向けた試行錯誤は、今後も続くことだろう。
そして、馬場適性の論議については、日本のレースに参戦する外国馬の陣営にしても同じことがいえる。
日本以外でも高額賞金のレースが創設されたことも関係していると思われるが、以前に比べて高速化の進んだ馬場も、敬遠されるようになった大きな理由の一つだ。
かつては海外の一流どころが、参戦することもあった華やかな舞台も、外国馬にそっぽを向かれている近年は、国際レースの名前もお飾り程度。2019年に至っては、外国馬の出走が1頭もないという危機的状況にも陥った。
日本を代表する国際レースのジャパンC(G1)も、2005年にアルカセットが優勝したのを最後に、外国馬の優勝例はない。
そんな日本の競馬場で走り慣れた馬たちが、対照的な欧州の馬場で行われる凱旋門賞で苦戦したとて驚けない。本来なら海外の一流馬と戦う舞台となるはずのジャパンCが、事実上の開店休業となっているのは皮肉な話である。
勿論、当事者のJRAもこの現実に対する改善策を用意した。優勝賞金をそれまでの3億円から1億円増やした4億円に増額しただけでなく、外国馬向けの国際厩舎も完成。これにより、「空港から直接、出走競馬場に入れることになり、馬の負担を減らせることが一番のメリット。ドバイや香港と同等の形がとれることになります」と説明した。
「青色吐息」ジャパンCに超大物が続々名乗り…
こういったロビー活動の結果もあってか、今年の凱旋門賞馬アルピニスタ、同3着トルカータータッソ、同5着グランドグローリーやキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(英G1)を制したパイルドライヴァー陣営が、次走の選択肢としてジャパンC参戦を匂わせた。
もしアルピニスタが出走するなら2012年にソレミアが出走して以来、10年ぶりに凱旋門賞馬の参戦となる。昨年もジャパンCに出走したグランドグローリーの出走は濃厚と見られるが、名前の挙がった馬がすべて来てくれるなら、近年稀にみる超豪華メンバーとの対決が実現する。
お互いに馬場適性という最大の懸念は残るものの、超大物に続々と参戦の可能性が出てきたことは非常に喜ばしいことである。最終的な動向はまだまだ分からないが、 “来る来る詐欺”で終わらないことを祈りたい。
※トルカータータッソは引退して、ドイツで種牡馬入りすることが発表済み。