スミヨン肘打ちも霞むライバルへの強烈パンチ、レース中に起きた信じがたい暴挙
先月30日、フランスのC.スミヨン騎手が、レース中に他馬に騎乗している騎手に対して肘打ちをするように接触し、落馬を誘発するアクシデントが発生した。スミヨン騎手はこの行為が故意ではないと謝罪と弁解をしたが、60日間の騎乗停止という重い処分が下された。
スミヨン騎手は翌週の凱旋門賞(G1)で有力馬・ヴァデニに騎乗予定であったこともあり、この事件は大きな波紋を呼んだ。結果的に凱旋門賞では無事に騎乗できたものの、騎乗停止処分の影響で今秋予定していた短期免許での来日は立ち消えに。天皇賞・秋(G1)でジオグリフに騎乗を予定していただけに、日本でもこの事件は大きな話題となった。
この行為は現地で大きな非難を受けていたようで、今回の重い処分も当然の結果といえるだろう。だが欧州から大西洋を挟んだ南米・エクアドルでは、スミヨン騎手の“肘打ち”が霞むほどの暴挙が行われていた。
事件が起きたのは18日に行われたデルビー・ナシオナルというレース。“Derby”のスペルが示すようにこのレースは当地のダービーであり、3冠レースの最終戦にあたる。
このレースでは2冠目を制したイルコンタディーノが有力候補と見られていたが、道中では厳しいマークを受け、ルカクという馬にコーナーで蓋をされる形になってしまう。
すると鞍上のジョフレ・モーラ騎手はあろうことか、蓋をしてきた馬の鞍上に対して強烈な“右ストレート”をお見舞いしたのである。これによって弾き飛ばされたルカクの鞍上は当然ながら落馬することに。パート3国での一幕とはいえ、にわかには信じがたい出来事がダービーの舞台で起きてしまったようだ。
木下昂也氏(@koyakinoshita24)が運営するウェブサイト『南米競馬情報局』によると、イルコンタディーノはライバルとなる陣営に1冠目、2冠目ともに執拗な幅寄せを受けており、特に1冠目はそれが原因で敗れてしまっていたらしい。
どうやら今回イルコンタディーノをマークしたルカクも先の2レースで幅寄せをしてきた馬と同じ陣営だったようで、モーラ騎手は堪忍袋の緒が切れたといった経緯があったようだ。
今回の事件を踏まえてモーラ騎手には、「反スポーツ的行為による資格停止処分」が下された。フラストレーションが募る背景があったとはいえ、馬上で暴力を振るうという行為は決して認められるべきものではない。今回の処分は至極妥当なものといえるだろう。
異国の地で立て続けに起こってしまった、馬上での信じがたい危険行為。日本競馬においてはこうした行為の心配はないと思うが、何より人馬が安全にレースを行うため、我々ファンが快く観戦するためにもクリーンな競馬を心がけてもらいたい。
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