今村聖奈「最多勝」&アスクビクターモア、ボルドグフーシュが菊花賞ワンツー! 社台ファーム逆襲の裏に2018年の大改装

撮影:Ruriko.I

 スターズオンアースが秋華賞(G1)3着、ボルドグフーシュが菊花賞(G1)2着に入り2週連続でG1を盛り上げた名門の勢いが止まらない。

 先週、一口馬主クラブ・社台サラブレッドクラブ(以下社台TC、馬主名義は社台レースホース)の所有馬が新馬戦3勝の快挙を達成した。

 まずは22日の阪神5Rだ。1番人気に支持されたシングザットソング(牝2歳、栗東・高野友和厩舎)は馬群後方から、上がり3ハロン33.5秒の瞬発力で差し切り勝ち。鞍上の吉田隼人騎手は「切れ味がある。その武器を大事にしていきたい」と、その素質に惚れ込でいる様子だった。

 同馬は先日の秋華賞でワンツーフィニッシュを決めた高野厩舎の管理馬で、来年に向けて早くも楽しみな牝馬が出てきた形だ。

 その勝利から僅か10分後、東京5Rを制したのはシリアルノヴェル(牡2歳、美浦・伊藤圭三厩舎)。こちらは単勝オッズ57倍で11頭立ての10番人気と前評判は低かったが、追われて味のある走りでライバルをジリジリと突き放した。騎乗した横山武史騎手は「左右にフラフラして他馬に迷惑をかけた。完成は先」と成長途上である点を指摘。裏を返せば、その状態でも勝てたということで、完成した時の走りが楽しみだ。

 新馬戦3勝の締めくくりは23日、東京4Rのフォーカルフラワー(牝2歳、美浦・国枝栄厩舎)。“牝馬の国枝厩舎”に所属する、カレンブーケドールの妹が初戦から大きな期待に応える走りを見せた。レースでは、スタートを決めて好位で進める器用な立ち回りを披露。ゴール前で外から差されそうになっても、馬体を併せると再び伸びて勝負根性を見せつけた。

 姉ともコンビを組んでいた津村明秀騎手は「姉と違って(距離が)短いところのタイプ。相手が来た分だけ伸びる感じで余裕があった」と話し、「もっと良くなる」と今後に期待している。

 手元の資料によると、社台TCの馬が同一週に新馬戦を3勝するのは9年ぶりのこと。かつては馬主リーディングを22連覇した名門も近年はやや元気がなかったが、ここ最近は2冠牝馬・スターズオンアースの登場もあって久々に存在感を示している。

社台ファーム逆襲の裏に2018年の大改装

 そうした復活の背景には地道な改革があったという。

「社台TCの運営母体である社台ファームでは2018年に坂路コースの改修工事を行いました。この改修で坂路の勾配上昇や、ダートからウッドチップへの変更が実現しています。

その効果か、同牧場の生産馬は昨年の2歳戦で51勝をマークし、前年から11勝の上積みを果たしました」(競馬誌ライター)

 この結果について、社台ファームの吉田哲哉副代表は『坂路コースの完成など施設が整ってきましたし、この一年でスタッフの意識や感覚にも修正が利いてきたような気がします』(丸ごとPOG2022〜2023週刊Gallop臨時増刊、産経新聞社より)とコメント。社台TC所属馬の勝ち上がり率も、ここ3世代で38.2%→48.2%→51.7%と上昇し続けている。

 新馬戦での3勝が目立った社台TCだが、今週は今村聖奈騎手に女性騎手最多タイの43勝目をプレゼントしたスカイナイルなどで計6勝の大暴れ。菊花賞ではボルドグフーシュがあわやの2着で“縦縞ウィーク”に花を添えた。ちなみに同レースを制したアスクビクターモアも社台ファームの生産馬である。

 1983年にダイナガリバー(日本ダービー)で法人馬主として初めてクラシック競走を制するなど、一口馬主クラブ界の旗印的存在だった社台TC。ここ4年はノーザンファーム系クラブの後塵を拝していたが、今年はリーディング順位を1つ上げて3位につけている。

 G1好走馬の続出や9年ぶり快挙の勢いそのままに、今度は2009年以来の頂点に返り咲く姿も見てみたい。

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